横浜FCとG大阪の今シーズン最初の対戦は、第3節（3/17＠万博）。スコアは0-0で、後半は、横浜FCがペースを握るような試合だった。その3節を終わった段階では、横浜FC、G大阪ともに1勝2分となった。昇格争いの本命であるG大阪と互角以上に渡り合い、横浜FCにとっても手応えがあった試合。しかし、その後チームを固めていき盤石の体制を作っていくG大阪に対して、横浜FCは思うように勝点を積み重ねられず、この試合を迎える時点で横浜FCの勝点が34に対してG大阪が66。ほぼ倍の数字まで広がっている。残り12試合とそろそろシーズンの後ろが見えてきた段階で、G大阪としては、その盤石な体制をより強固にしたい試合、そして横浜FCは残る昇格争いへの可能性を広げるきっかけの試合となる。

30試合を経過した段階での順位表の数字というのは、ある意味、正直にチームの状況を反映している。そして、この試合を迎える両チームの状況も、この順位表が象徴的に表しているように対照的だ。

横浜FCは、第29節の京都戦（8/18＠ニッパ球）で粘り勝ちを見せたものの、前節の長崎戦（8/21＠長崎県立）で相手のハードワークに屈して良いところが出せなかった。さらに、DF陣が相次いで負傷し、DFリーダーのペスンジンも警告を受けて、このG大阪戦は出場停止。横浜FCはこの試合でDFの編成に苦慮するような状況に追い込まれている。対するG大阪は、前節の鳥取戦（8/21＠とりスタ）で、7-1と圧倒的な破壊力を見せて勝利した。宇佐美貴史、ロチャが躍動しただけでなく、G大阪のパスワークの良さが90分切れ目無く表現された試合だった。宇佐美とロチャが加入してからの6試合で20点ということで、チームは絶好調と言っても良い。

その意味で、今回の試合展開もG大阪のパスワーク、攻撃陣を中心に考えざるを得ない部分はあるだろう。G大阪のポゼッションは、後ろでボールを回して隙を伺う段階から、J2ではあり得ないレベルでハイペースだ。ハイペースで回し続け、相手を簡単にハーフコートに押し込めてしまう技術とチームワークは一級品。それを見るだけで、「J1の香り」をJ2に居ながらにして味わえる。横浜FCとしては、G大阪をリスペクトして早いペースを作らせると苦しい戦いになることは間違いない。その意味では、G大阪のハイペースをいかに乱すか。ここが1つのポイントになる。横浜FCもポゼッションをベースとするチームだが、緩急を付けながらどれだけペースをコントロールできるか、ペースを落としたときに簡単なミスをしないか。G大阪は試合中のミスがほとんどないチーム。それだけに、横浜FCにミスが起きると自滅になる可能性が高い。DF陣の緊急事態の中で、押さえるべきポイントをいかに絞りつつミスを減らすか。「相手には力がある選手が多いので時間とスペースを与えないようにしたい」と山口素弘監督は語るが、攻守においてゲームにおける戦略が問われる試合となる。そして、この試合から出場する可能性が高いパトリックが、パルメイラスで見せている輝きを横浜の地で見せられれば、G大阪のペースを乱すだけでなく、サプライズを起こすことができるだろう。

三ツ沢における横浜FCとG大阪の対戦は、横浜FCがJ1に在籍していた2007年8月18日、第21節の対戦以来だ。この試合では、59分に早川知伸が退場し数的不利になり、遠藤保仁がPKを決めるも、横浜FCもコーナーキックから和田拓三がゴールし1-1で引き分けた。あれから6年後、ニッパツ三ツ沢球技場では同じように熱いゲームが繰り広げられることは間違いない。G大阪は優勝という明確な目標への一歩となる試合だけに、高いモチベーションを持てる試合。そして横浜FCは、下位から這い上がりプレーオフ圏内を狙うためのラスト12の重要な一戦。勝利の必要性は横浜FCの方が高い。どちらのモチベーションが上回るか。満員が予想される三ツ沢の丘は、選手の高いモチベーションを臨場感あふれるスタジアムが後押しする、レベルの高い試合になるだろう。是非、三ツ沢の丘を登り、両チームの後押しをお願いしたい。

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2013.08.24 Reported by 松尾真一郎