９月も後半に差し掛かったところで開催されるこの第３４節。札幌市厚別公園競技場では現在勝点４８で８位の札幌が、同５６で４位につける長崎と対戦する。プレーオフ出場圏内である６位以内に入り込みたい札幌が、上位に踏みとどまるべく踏ん張る長崎をホームに迎える一戦とあって、非常に注目が高まりそうである。

ホームの札幌は前節、敵地で栃木と対戦して４−３のスコアで敗戦。先制し、逆転され、再び追いつきまた引き離されという打ち合いを演じたが、後半アディショナルタイムに相手に豪快な一発を刺されてしまい、敗れてしまった。

「後半になってからセカンドボールや球際で相手に圧倒されてしまい、逆転を許して追いついたりという試合になった。最後の最後でやられてしまったのは、そこ（球際）の差が出たのだと思う」
そうやって振り返るのは財前恵一監督だ。この日のグラウンドは芝生の状態が万全ではなく、両チームがともにロングボールを多めに蹴り合う展開。そうなるとやはり、ファーストボールはもちろんながらセカンドボールへの予測、寄せ、確保という部分が試合の流れを大きく左右することになるのだが、そこで後手を踏んでしまったということなのだろう。そこで後手を踏んでしまうと、どうしても全体のラインも下がり気味になり、よりいっそうセカンドボールが拾い難くなるという悪循環も生まれる。ざっくりと言えば、ここが前節の敗因なのだろう。

とはいえ、だ。ただでさえ難しいアウェイゲームの、それもグラウンド状態が芳しくないシチュエーション。普段はパスをつないで攻めようとするチームが、その状況下でも我慢強く戦い、打ち合いのなかであと一歩で勝点１を確保できるところまで持ち込んだのだから、必ずしもすべてを否定する敗戦にはならないだろう。２試合続けて終了間際に失点してしまった部分をネガティブに見る向きもあるかもしれないが、試合終盤というのはかなりの確率でオープンな展開となっているため、ゴールネットが揺れやすいのはサッカーでは当たり前のこと。必要以上に重く捉えず、気持ちを切り替えてこの試合に挑み、また新たな流れを作りたいところだ。

対する長崎の前節はホームで神戸と対戦して０−２で敗戦。本拠地に１万人超の観衆を集めた上位同士の対戦だったが、これをモノにすることができず、順位をひとつ落としてしまう結果となった。

しかし、指揮官は前向きだ。
「今日のゲームについてはまったく悲観していない。部分部分においてはしっかり反省してこれから改善する必要があるが、全体としては良かった」「０−２で負けたが、彼らの力はかなり本物というか身になってきているという印象はあります」と、試合後の会見で高木琢也監督はポジティブなコメントを重ねている。

２位の神戸に先制を許し、その後は相手が強固な守備を組み上げてきたが、そこに対しても積極的にチャレンジをすることができていた。そして何よりも、Ｊ２初シーズンながらも序盤から上位争いに食い込み、そこから落ちてくることなく踏みとどまっている長崎の力は、あらためて筆者が論じるまでもなく、しっかりしたものだ。チーム全体で攻守の切り替えを強く意識しながら、マイボールは丁寧にコントロールして、あくまでもグループとして攻守を演じていく。２位の神戸には完敗をしてしまったものの、それでも、ここまで積み上げてきたものに対する揺るぎない自信を指揮官の姿勢から感じ取ることができる。

さて、そんなチーム同士の対戦だが、ポイントとなるのは球際の攻防だろうか。前節の敗戦を受けて、間違いなく札幌はこの部分での修正を図ってくるはず。残念ながらキャプテンの河合竜二は出場停止となっているが、チーム全体が球際での戦いでかなりハードに挑むことは容易に想像がつく。ホームの声援も背にし、札幌がタフなゲームを仕掛けることは間違いない。あとはそれに長崎がどう対応するのか。うまくいなすのか、それともそれを上回るハードワークを仕掛けてくるのか。男と男のぶつかり合いが、勝敗を分ける大きなカギとなりそうだ。

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2013.09.21 Reported by 斉藤宏則