水戸にとってあまりにもショッキングな敗戦だった。前節G大阪戦、0対5という結果通りの完敗であった。
確かにG大阪は強かった。しかし、それ以上に水戸が自分たちのやるべきことをやらなかったことが完敗を生む原因であった。「テクニックも、フィジカルも、メンタルもすべてでG大阪に劣った」と柱谷哲二監督が嘆いたように、技術だけでなく、水戸が自信を持っていたはずのフィジカルとメンタルを出し切ることができず、G大阪に圧倒された。それが悔しかった。「サッカー選手として考えさせられるゲームだった」。試合後、本間幸司は肩を落とした。
屈辱的な大敗で今季初の3連敗を喫した水戸。果たしてチームは生まれ変わることができるのか。なんとかチームを立て直そうと、オフ明けの水曜日のトレーニング前に柱谷監督はミーティングを行い、選手たちに檄を飛ばした。約20分間、選手たちに熱弁をふるい、水戸ホーリーホックとしての戦う意義を再確認したのである。
ライセンスの問題があり、現実的に水戸はJ1昇格の可能性はない。それゆえに戦う意義は薄れがちだ。「選手たちは気持ちは入っているんだろうけど、ふとした時に我に返って、現実を見てしまう。その少しの差が出てしまっているんだと思います」と柱谷監督は選手たちの心境を代弁する。しかし、「それでいいのか!?という話なんですよ」と語気を強めた。「残り9試合何のために戦うのか。何を目標にするのか。我々は『6位以内』に入る以前に、1戦1戦見に来てくれた人を感動させるためにプレーしないといけない。そのために1試合1試合勝つための準備をしなければならない。順位はその結果にすぎないのです。その原点を見つめ直そうという話をしました」。
今節の対戦相手の熊本は残留争いの真っただ中にいる。前節はホームで東京Vに先制をされながらも、気迫を前面に出したプレーで逆転に成功。貴重な勝点3を手に入れた。しかし、まだ残留争いから抜け出したとは言えない。1試合でも早くプレッシャーから免れるためにも、今節はアウェイとはいえ、勝点3を手にするために死に物狂いで水戸に襲いかかってくることだろう。
今節、もちろん、技術や戦術も重要なポイントであることは言うまでもない。しかし、それ以上に「熊本は『J2に残るんだ』というすごい気迫で向かってくることでしょう。それ以上の強い気持ちで挑まなければならないという話を選手に伝えました」と柱谷監督が言うように、両チームのメンタルが勝負を左右するに違いない。少しでも緩んだチームは痛い目を見ることとなる。より強い気持ちを持って戦いに挑めたチームが優位に立つことができるはずだ。熾烈なメンタルゲームとなることが予想される。
特に水戸はチームを支えてくれる人の信頼を取り戻すために死ぬ気で戦わなければならない。勝敗以前に前節見失ってしまった「やりきる」「走りきる」というチームコンセプトを取り戻すことが求められる。水戸は何のために戦っているのか。それをプレーで証明しなければならない一戦なのである。
「熊本戦は今季で一番大事な試合になる」と細川淳矢は気合いを込める。柱谷監督のもと、2年半積み上げてきたサッカーはこんなことで崩れてしまうのか。そんなことはないはずだ。これまで積み上げてきたすべてをこの90分にぶつけてもらいたい。そして、もう一度ここから這い上がっていくという強い意志をホームのサポーターに見せることこそ、今節の水戸のタスクである。
以上
2013.09.21 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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