緊張感のあった京都と富山の一戦は、京都が常にリードを奪い３−２で勝利した。最後の最後まで京都を追い詰めた富山に試合後、富山サポーターから下を向くなという声がかかったという。

試合は、富山が、ソ ヨンドクが体長不良のため外れ、トップ下に白崎凌兵が入った。京都は、出場停止の秋本倫孝の位置に田森大己、怪我から復帰の横谷繁がトップに入り、４−４−２の布陣。
序盤に流れを掴んだのは富山。積極的なプレスで京都に自由を与えなかった。８分に、１本のパスを通され苔口卓也にフィニッシュまで持ち込まれる。京都の反撃は13分、右CKを安藤淳がニアで、頭で合わせあわやという場面を作る。15分に富山に左サイドで起点を作られ、逆サイドにクロス。木村勝太に頭で合わせられた。
その後は京都が持ち前のボール運びへと、選手の意識が高まる。すると、富山のプレスをかいくぐるシーンも現れ始める。17分には工藤浩平の飛び出しで裏を取り、28分にも工藤の裏への飛び出しの落としから、山瀬功治のシュートを演出した。

後半に入ると、京都が一気にギアを上げる。後半のキックオフ直後に仕掛けた駒井善成から工藤に渡りGKと1対1の決定機を作る。これで勢いに乗った京都は55分、右CKを中央で安藤が頭で流して、裏で酒井隆介が押し込み先制点を奪う。
57分にも横谷の落としに山瀬の強烈なシュートが出るもGKが弾きだす。だが64分、京都のCKのこぼれ球を処理した富山MFがハンドの判定を取られPK。これを横谷がきっちりと決めて京都が２−０とリードを広げる。

その後も京都は攻め立て、73分には、横谷がエリア内をドリブルで横断しマークを引きつけ工藤へ。工藤のシュートは惜しくもバーを叩くシーンもあった。
だが富山は一瞬の隙を逃さない。78分、京都陣内左サイド奥へボールを送ると、京都DFが処理にもたつく間にボールを奪い中央へ。木本敬介、右の白崎とつないで、また中央の木本へ。これを右足で流し込んで、富山が1点差に迫る。
富山が息を吹き返したが、京都は果敢に攻め込み終了間際の89分、左サイドで山瀬がボールを奪うと、三平和司へ、三平、宮吉拓実、三平と渡り、DFの裏を取ると、三平が飛び出したGKの股を抜いてシュートを決める。京都が３−１と富山を突き放す。
だが富山は粘る。追加タイム2分、國吉貴博から中央の黒部光昭。それを縦の苔口へ送ると、京都DFの間をすり抜け、冷静に決める。富山がまたも1点差に詰め寄った。
追いすがる富山だったが結局は京都が逃げ切りタイムアップ。京都はこれで３連勝となった。

富山・安間貴義監督は試合後、京都相手には、やや懸念もあった３バックに切り替え勝負に出て２点獲れたことに「良かった」と納得の言葉を選んだ。
特に前半、京都はリズムをつかもうとしたが、富山陣内でプレーを続けることが出来なかった。これは、富山がボールを奪った時に判断の速さや思い切りの良さがあって、一気に京都陣内へ挽回したためだと感じた。一言で言えばカウンターだが、得点を狙うことだけでなく、一気に盛り返す感じが強かったのだ。戦い方についてはこの点は気になった。裏返すとそれだけ盛り返す早い攻撃を受けたにも関わらず、中央、特に酒井、安藤は中央の対応について、落ち着いて出来ていたのではないか。

京都は、富山相手に３点奪っての勝利、これに尽きる。シュート数は14本、過去の対戦でもこれだけのシュート数はあったが、３点も奪う、しかも裏を取るシーンが随所にあった。富山を相手にこれだけの内容は大いに評価しても良いのではないか。
内容の潮目は、ハーフタイムコメントにもあった20分ごろ。京都は中盤でボールを拾える様になり、ボールを運ぶためにそれを受けようとする選手が増えたこと、の様に見えた。その点で今節の田森の働きは大いに評価したい。セカンドボールや中盤での守備は、大木武監督の指示だろうが、中盤で積極的にボールを受けて、前に送った姿勢はチームを大いに助けたはずだ。

最後に、大木監督は会見で厳しいコメントを残した。試合は、京都が２点目を奪って意気上がる感じがあった。それ自体は良いことだと思う。だが、富山は意気下がってはいなかった。これまでの連勝中、大体２点目を奪うと、京都の盛り上がりと比例する様に、相手が落ちる感じがあった。２―４で負けた岡山との試合。３失点目を受けて１−３になり下を向きかけた選手がいたが、それに似ている。でも、富山は違うということ。そして、京都の油断もあり、点が動く。大木監督の言葉は自覚した方が良いだろう。「勝つ負ける」の勝負の前に、自分の力を出し切ること。それはギリギリの勝負でものを言う様になる。

以上

2013.09.23 Reported by 武田賢宗