「俺らみんな歌い続ける。お前たちと共に戦うぜ」
試合後に、長崎サポーターが挨拶にやって来た選手に向けて歌った、この歌こそがこの日の試合をズバリ表現していた。ここ3試合無得点で3連敗中の長崎は試合途中からオプションの一つであるロングボール戦法を選択。現実的な策で貴重な勝点1をゲットした。互いに順位を1つ落とすことになったが、残り少ないシーズンをサポーターも「共に戦う」と歌ったのだ。おそらく同じように1つ順位を落とした岡山も、まだまだ8位。試合後は長崎と同じ気持ちだっただろう。
同じシステム(3−4−2−1)で、共にハイプレッシャーをかける戦い方をする長崎と岡山。この試合、両チームは互いに立ち上がりから激しいプレスをかけ、ぶつかり合ってはセカンドボールを奪い合う戦いとなった。しかしながら、最初に大きなチャンスを掴んだのは岡山だった。7分、最終ラインからロングボールを蹴りあげ、トップの押谷祐樹を走らせると、ダイレクトに左足であわせ、いきなり長崎ゴールを脅かした。
一方、長崎も高杉亮太、神崎大輔、幸野志有人、井上裕大、佐藤洸一の5人がダイレクトパスを交換しながら左サイドから崩し、最後は高杉がクロスを上げると佐藤が反転してシュート。非常に長崎らしい攻撃を見せてくれた。この後、高杉は2度もゴール前まで駆け上がり、ヘッドで岡山ゴールを脅かしたが、セットプレーの競り合いの中で、右足を負傷。前半36分に下田光平と交代した。
すると、徐々にテクニックと運動量で勝る岡山がペースを掴みはじめ、長崎は簡単にボールを奪われるようになる。31分には田所諒が左サイドからクロスを上げると、2試合連続得点中の清水慎太郎が頭で合わせる。これは惜しくもバーを越えたが、この時間帯の流れは間違いなく岡山にあった。そして42分、ペナルティエリア前のこぼれ球を千明聖典がミドルシュート。これがコースを消しに行った岩間雄大の体に当たり、方向が変わったボールは長崎ゴールに吸い込まれる。岡山がラッキーな形で前半終了間際に先制した。
ここ数試合の長崎ならば、先制されると落ち込むというパターンが多かったが、この試合はそうではなかった。55分に幸野に変えて小松塁を投入すると、前半と比較してロングボールが多くなる。しかし、これが岡山DF陣を苦しめた。68分には右サイドから佐藤洸がクロスを入れて小松がシュート。長崎は小松や佐藤洸にとにかくボールを集めて、落としたボールで勝負した。
ただし、岡山も黙ってはいない。72分にはコンビネーションを生かしたワンツーでラインの裏に飛び出し、押谷がGKとの1対1に。ただ、これを外してしまう。影山雅永監督も試合後に「追加点を取れないところが力の無さ」と嘆いたように、試合を前半からコントロールしながらも、得点には至らなかった。
すると、長崎は84分、鄭薫聖が左サイドをドリブルで突破しクロスを上げると、小松が頭でついに岡山ネットを揺らし、途中出場の2選手のホットラインで同点に追いついた。
岡山の田所は「守り切るのか、2点目を取りに行くのか、チーム全員で意思統一できていないところがあったので、そこは悔いが残る」と話しており、追いつかれた岡山としては勝点2を落としてしまったと感じているだろう。
終了間際には長崎の金久保彩が「もっと声援を」と客席を煽るなどホームスタジアムは押せ押せムード全快だったが、こちらも後一歩が届かず、開幕戦と同様にまたしてもこのカードは1−1のドローとなった。ただし、どちらもまだ諦めるような場所にいるわけではない。残り試合の大切さは変わらない。互いに自分達のサッカーをするだけだ。
以上
2013.10.07 Reported by 植木修平















