第36節・松本戦。試合は1−2で敗れたが、岐阜はラストワンプレーで一矢報いるゴールをねじ込んだ。点を取って終えるのかノーゴールで終わるのかでは意味が違う。「非常に残念な結果になり申し訳ない」と肩を落とした辛島啓珠監督が、「終了間際に取った1点を次につなげたい」とも話したように、諦めない姿勢を見せた一発だったようにも思う。
アキラメナイ――。それはクラブが7月から呼びかけている岐阜の合言葉だ。クラブの諦めない意思を発する部署として「#アキラメナイ 部」を設立し、毎ホームゲーム直前の金曜日にはTwitter上で選手やクラブに対する「#アキラメナイ」メッセージを募集。すべてで諦めることなく、全員が一体となって取り組んでいこうとする宣誓には、勝利(を諦めない)やJ2残留(を諦めない)だけでなく、夢(を諦めない)も含まれる。その活動からは、自然とあらゆる“熱”が伝わってくる。
岐阜のクラブ基盤が、まだまだ脆弱であることは周知の事実。クラブ経営問題に揺れた昨季をはじめとして、クラブライセンス制度の問題と隣り合わせの状況は続いている。「岐阜にはサッカー文化が根付いていない」という言葉だってしばしば聞くし、タクシーなどで移動すると、運転手さんはFC岐阜のことはあまり知らず、中日ドラゴンズの話題になると途端に饒舌になる。アウェイにもかかわらずサポーターが大挙来場した松本と比べても、サッカー熱の差は一目瞭然だろう。それらは地域や歴史の違いだから、もしかしたら仕方のないことなのかもしれない。
しかし最下位で迎えた第33節・群馬との直接対決、第34節・鳥取との裏天王山を制した時。あるいはそれに続くかのように、FC岐阜セカンドが東京国体・成年男子の部で県勢として48年ぶりの優勝を果たした時。それらを見て、岐阜は“熱”を吹き込めるクラブ(地域)であることを確信したし、多くの人がそう感じたに違いない。もちろん「裏天王山」や「勝てば〇年ぶり」といった注目されやすい戦前の状況が、負けられない気持ちをあおった感も否めないが、“熱”は口先だけで簡単に吹き込めるものでもない。どんな状況にも最後まで諦めず、一つひとつの所作に魂を込め、それが実を結んでこそ、人の心を打つのである。
10人となりながら勝利した鳥取戦。試合後に美尾敦が残したあの言葉を、もう一度だけ引きたい。
「Jのクラブが自分たちの地域にあるのは当たり前のことじゃない。みんなが苦労して作り上げてきたその火は、絶対に消しちゃいけない」
敗色濃厚の松本戦で、最後の最後に奪った意地のゴール。J2残留を争っている以上は試合に敗れた悔しさが滲むが、その“アキラメナイ精神”はまだまだ燃え尽きてはいなかった。残りは7試合。岐阜に関わる誰もが燃やし続ける精神の先に、次の勝利があり、J2残留という“極上の熱”があり、それがより多くの人(支援)を巻き込むことにつながるのだと信じたい。
以上
2013.10.10 Reported by 村本 裕太















