富山が快勝し、岡山側には受け止め方の難しいホーム最終戦となった。3失点を許した。しかし多数の選手が絡んでゴール前にボールを運び、引退から1年半ぶりに今年復帰した妹尾隆佑がゴールを決めた。シュート数も多かった。さらに状況に応じて切り替えた4バックなど、新たなチャレンジも見られる試合だった。
富山はシーズン終盤にかけて上げてきた仕掛けのクオリティやスピードをさらに増幅・発展させたパフォーマンスで、気持ちよく3ゴールを重ねた。また岡山のフォーメーション変更には同じ4バックへのフォーメーション変更で人をぶつけて対応。3点を積み重ねても、最後まで攻撃し続けることによってゲームをものにした。苔口卓也、白崎凌兵の連係は非常によく、2列目のソ ヨンドク、キム ヨングン、アンカーの大西容平がやるべきことを積極的に果たし、GKの守田達弥の好セーブも光った。
立ち上がりの岡山は悪くなかった。100試合目の出場となった石原崇兆の仕掛ける姿勢、千明聖典のボールを奪いに行く姿勢が目立っていた。一方、富山は白崎がボールを持つと、苔口がすぐさま反応。またバーを叩くソ ヨンドクのミドルシュートもあり、全体が一体化しながら動いていた。
先制点は前半27分。木本敬介のクロスに合わせた舩津徹也がヘディングシュート。バーに当たり跳ね返ったボールに、詰めていた苔口が押し込んだ。その10分後、岡山が相手陣内で最終ラインを含む選手が繋いでゴール前に迫る。フィニッシュまで8人のフィールドプレーヤーを経由したボールは石原から田所諒に渡り、そのパスをペナルティーエリアの手前で押谷祐樹がアクセントをつけて妹尾へ。これを冷静に決めて同点に追いつく。
ドローで迎えた後半9分、富山は大西が左サイドからパスを送り、苔口がワンタッチで繋いだボールを白崎が抜け出してゴール。U-20日本代表ミャンマー遠征メンバーに選ばれた白崎の今季4点目で2−1として岡山を突き放す。さらに後半18分には、ソ ヨンドクのゴールで、リードを2点差に広げる。「シラ(白崎)がノールックでパスを出してくるだろうと思っていて、自分のシナリオ通りだった。シュートコースは甘かったけどボールの強さで決まってくれた」とソ ヨンドク。
後半30分から岡山は関戸健二、久木田紳吾を入れ、4バックの態勢に。ここで富山は痛めた選手の交代を兼ねて、「誰が誰をマークさせるかをはっきりさせる」(安間貴義監督)ために【4−2−3−1】で対応した。
岡山は先週のトレーニングで4バックを試していた。ボールを奪いに行く際の優位性を出すためだ。影山雅永監督は、こうも話していた。「最近はあきらかに固くなっていて、もうちょっと思いきったことが出来るところでも、そういったプレーが出せなくなっていた。(徳島戦の敗戦で)張り詰めていた状態から多少テンションが落ちた部分はあったとしても、ピッチ上で表現するクリエイティブな面では呪縛が解けている」。まだ淘汰されていないが、その点のチャレンジは始まっている。
安間貴義監督が指摘したように、今季岡山の終盤戦のゲームは、「プレーオフ進出を狙って(現実的な)カウンター攻撃が多かったが、この試合に関しては、(中略)ボールを動かす時間を増やしてきた」。岡山は今、新たな過渡期、何度目かのターニングポイントにいて、前に向かって進んだつもりが、以前いた場所に引き戻されていたり、その場でもがき続けているようにしか見えなかったのに、昨日まで出来なかったことが出来ていたりする。進化に必要なブレのない視線はある。簡単なミスを引き起こす根拠なき自信のなさという幻想の悪魔を振り払って戦うこと。これが、最終節の最初の課題だ。
以上
2013.11.18 Reported by 尾原千明













