前節、山形に敗れたことで自力でのJ1昇格プレーオフ出場がなくなった松本だが、心の炎までは消えていなかった。長崎に対して気持ちで勝る松本は早い出足でボールを奪うと、試合開始直後から徹底してロングボールを入れ、長崎のDFラインの背後を突いてはラインを下げさせた。中盤に生まれたスペースでは迷いなく足を振り切り、遠目からも積極的にゴールを狙った。前半、12本のシュートを放っているが、そのうち4本は開始3分までに放ったものだ。この試合、いかに気持ちが入っていたかが良く窺える。
先日U-20日本代表に選出された幸野志有人は松本の攻撃について「千葉と栃木には上手くプレスをかけることができたんですが、今日はその前に蹴られてしまった」と悔しがる。DFラインの山口も「1対1や球際などかなり意識して入ったが、松本はこれまでのチームよりもかなり力強いものがあった」と松本の徹底した力技に苦しめられたことを明かした。ただし、松本もシュートが枠に行かない。前半は圧倒しているにもかかわらず、決定的なシーンはわずかだった。
後半に入ってすぐ、長崎はリズムを奪い返すために幸野に代えて、ポストプレーを得意とする水永翔馬を投入。ロングボールを水永に当てこぼれを拾うという、松本と同じようなスタイルへと変更した。これで、長崎は前線が前を向いてプレーする時間ができたのだが、策士である松本の反町康治監督が長崎のスタイルの変化に対しても予測をしていない訳はない。
「彼(水永)が起点となって展開して、横からのボールでガツンゴツンという長崎の一つの形ですが、真ん中のところを対処する。それは試合前から話をしていますし、我々の課題でもありますからね。それは思いのほか上手くいったと思います。幸野がいる時は柔なんですけど、水永が入ると剛になるんですよね、チームが。今日は柔・剛の両方準備をしてきたので、2つともよく対処出来たと思います。今日は引き分けではダメなので、シミュレート的にはパワープレーですね。飯田を残して喜山をアンカーにして(岩上)祐三をサイドからというのをやりました。それはある程度、水永が生きることになるかもしれませんが、我々はもうそういうやり方しか出来なかったので。我々が攻めて圧力をかけたことで彼の良さはあまり出なかったかもしれませんね」と振り返った。
勝負が決したのは88分のセットプレー。インスイングのCKを岩上祐三が蹴ると、ボールは金山隼樹が伸ばした腕の先を通り越して、ファーサイドに構えていた飯田真輝の頭に当たり長崎のゴールネットを揺らした。 長崎が最も警戒していたセットプレーでの失点だった。
ただ、この試合は松本の選手らが持つ、勝ちたいという気持ちが反町監督の描いたシミュレーションを円滑にピッチ上で実践できたという点が最も大きなポイントとなるだろう。長崎の高木琢也監督も「なかなかセカンドボールを取れなかったのがリズムを作れなかった大きな要因だったと思います。今日の松本と戦ってみて、やっぱり(サッカーの)原点の部分を思い知らされた」と反省点をあげており、次節はより気持ちの入った試合をホームで見せてくれるだろう。
両チームはプレーオフ進出を掴むために、それぞれ強い気持ちで最後のホームゲームを迎える。
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