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【J2:第41節 水戸 vs 京都】レポート:8千人が震えた魂の勝利! 最高の雰囲気の中、水戸は「夢」へ一歩踏み出した。京都は悔しい連敗(13.11.18)

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それは夢のような光景であった。
試合3時間前、スタジアムに到着すると、スタジアムの周辺には人でごった返しており、メインスタンドとバックスタンドにすでに長蛇の列ができていたのだ。開場がはじまっても列は絶えず、スタンドは人であふれ返った。この日、スタジアムにはなんと8千人を超える人が集まり、バックスタンドアウェイ側を除いてほぼ満席状態に。クラブ史上過去6位の観客数とのことだが、これだけ「ホーリーホックブルー」で染められたスタンドは今まで見たことがない。「昇格」や「残留」など“何か”がかかったゲームではない。8千人の人が「水戸ホーリーホック」を見ようとスタジアムに足を運んだのだ。その事実が素晴らしかった。

この状況を作ったのもフロントスタッフの努力があってこそ。すでに年間過去最高動員を記録しており、さらに「10万人チャレンジ」と銘打ち、年間観客数10万人を目指して様々な企画を立て、奔走してきた。結局、惜しくも「10万人」には届かなかったものの、年間通して努力し続けてきた成果がこの日のスタンドに表れた。そして、ボランティアスタッフの存在にも触れないわけにはいかない。試合前から入念な準備を行い、8千人以上の観客をスムーズに迎え入れることができた。彼らなくして、ホーリーホックのホームゲームは成立しないと断言していいほど、彼らの存在は大きなものであることをあらためて感じさせてくれた。過去の蓄積と「ホーリーホックへの愛」が最高のスタジアムの雰囲気を演出したのであった。
水戸に携わる人の思いが一つに凝縮されたスタジアム。試合前、満員のバックスタンドには「12」と描かれたコレオグラフィーが登場した。そんな雰囲気に包まれた柱谷哲二監督は「すべて我々のモチベーションが上がる、勝利の方向に向かっていった」と感じたという。この状況で奮い立たない選手はいなかった。3位の強豪・京都を相手に臆することなく、「水戸らしいアグレッシブなサッカー、アグレッシブな守備を90分続けてくれた」(柱谷哲二監督)。京都の華麗なパスワークに苦しみながらも水戸は勇敢に戦い続けた。

試合は一進一退の展開が続いた。互いにコンパクトな陣形を維持して、厳しいプレスを掛け合う。めまぐるしく攻守の入れ替わる攻防が繰り広げられた。24分に橋本晃司がPKを沈めて水戸が先制すると、63分に京都が右サイドを突破した下畠翔吾からのクロスを横谷繁が頭で合わせて同点に追いつく。
両チームとも勝利を手にしようと、最後まで攻め手を緩めなかった。どっちに転がってもおかしくない展開の中、スタンドからの声援が水戸の選手たちの背中を押した。「これだけ観客が集まってくれたし、内容も大事だけど、とにかく勝ちたいという思いが強かった」(石神幸征)という思いが、想像を超えるプレーを生み出した。
78分、左サイドでボールを受けた輪湖直樹がゴール前に低空の高速クロスを入れる。船谷圭祐が飛び込むものの、相手DFのブロックによって届かず、ボールはゴール前を流れていこうとした。しかし、ファーサイドから怒涛の勢いで走り込んできた選手がいた。右サイドバックの石神幸征だ。転がってきたボールをゴールネットに豪快に蹴り込み、これが決勝ゴールとなり、水戸が勝利を手にすることとなった。
左サイドバックが上げたクロスを右サイドバックがゴールする。「普通ではあり得ないですよね」と石神は笑いながら振り返ったが、「あり得ない」を実現させる力がこの日の水戸にはあった。それは水戸の「未来」を暗示するものではないだろうか。「Jリーグ40クラブ中40番目の資金力」(沼田邦郎社長)のクラブが本気で「J1昇格」を目指して戦う。しかも、スタジアムの問題により「J1クラブライセンス」も取得できていない。多くの人が「あり得ない」と思うに違いない。しかし、この日のゴール、この日の勝利が示すように、ホーリーホックを愛するすべての人の力が一つになれば、「あり得ない」を実現することができるのだ。確かに道は険しい。時間もかかるだろう。だが、何かを言い訳にして、諦めてしまったら「夢」なんて絶対に実現させることはできない。
「夢」を信じ、すべての人の力を一つにしながら全力でチャレンジし続けることに「ホーリーホック」の意義がある。来季も柱谷監督とともに「あり得ない」を実現させるための戦いは続く。水戸に携わるすべての人が同じ方向を向いたこの日のスタジアムからは、希望しか感じられなかった。

京都にとっては悔しい敗戦だ。すでにJ1昇格プレーオフ出場を確定し、今節の結果により、3位が決定し、初戦のホーム開催権を手に入れた。とはいえ、プレーオフに向けて弾みをつけるためにも今節は何としてでも勝利したかったことだろう。決して内容は悪くなかったが、水戸の気迫に屈する形となってしまった。「何をやれて、何をやれなかったのか。もう一度選手たちと話をしないといけない」と大木武監督は険しい表情で口にした。いかにチームを立て直すか。次節・栃木戦は非常に重要な一戦となる。

以上

2013.11.18 Reported by 佐藤拓也
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