寒かった。
もちろんそれは、本格的な冬の訪れを感じた冷たい風のせいで、体は90分間震えていたが、試合は最後までハラハラさせられて、心は熱くなっていた。
北九州にとっては、今節がホーム最終戦。本城での、最後のチームの勇姿と勝利を見ようと多くのファン・サポーターがホームに詰め掛ければ、アウェイからも17時キックオフにも関わらず、チームの勝利を信じて遠路はるばる応援に来ていた鳥取のサポーターたち。両チームの選手たちが、多くの人の思いを背負って戦った一戦。2−1という点差以上に、ゴール前での見せ場は多かったが、そのチャンスをしっかり生かしたチームが最後に勝利し、サポーターと勝利を分かち合えた。
北九州は、前節サイドハーフで久々のスタメンでプレーした鈴木修人がボランチに入り、出場停止明けの森村昂太が2試合ぶりにスタメンに名を連ねた。対する鳥取は、前節・群馬戦で引き分けた時と同じメンバー。意味は違っても、勝ちたい気持ちは同じ両チームは、前半からフルスロットルで、ゴール、そして勝利に向かってアグレッシブにプレーした。
最初にチャンスを掴んだのは北九州。開始5分、鈴木のループパスに反応した渡大生が、鋭い飛び出しで鳥取ディフェンス陣の裏を取り、ヘディングシュートを放つが、鳥取のGK小針清允が鋭い反応で防ぎ、北九州はチャンスを逃し、鳥取は最初のピンチを防ぐ。鳥取も、ボールを奪ったら前線の久保裕一にボールを預け、2次攻撃、3次攻撃を仕掛けるが、ゴール前での精度を欠き、先制点を奪うことが出来なかった。
先取点が大きくモノをいう試合で、その均衡を破ったのは、北九州のエース池元友樹。左サイドでボールを受けた渡からのパスを受けると、ペナルティエリア内で巧みなフェイントで鳥取の守備を翻弄。最後は左足で豪快に、そして正確に左上隅にゴールを突き刺し、前半14分貴重な先制点を奪った。
勝たなければ最下位が確定してしまう鳥取も、気持ちを落とすことなく反撃を試みたことで、同点に追いつく大きなチャンスを迎える。25分、相手のハンドからPKを得ると、キッカーは実信憲明。両チームの選手、サポーターが固唾を飲んで見守った実信のシュートは、惜しくもバーに嫌われしまう。絶好のチャンスを逃してしまった鳥取だったが、その後も攻撃の手を緩めない。サイドから何度も何度もクロスを上げるが、北九州はキャプテンの前田和哉、渡邉将基の両センターバックの鋭い読みと落ち着いたプレーで対応し、決定的なチャンスを与えなかった。
後半に入っても、鳥取に流れがあり、北九州にとっては我慢の時間が続いた。試合後に鈴木が「こういう試合は、最初の頃には負けていた」と言うように、以前は粘り切れなかった北九州だったが、今はもうその姿はなく、苦しい時間を凌ぐと、ワンチャンスを得点に結びつける。
「前回の試合から(鈴木)修人から、良いクロスが良いタイミングで来ていた」とアシストした鈴木を讃えた前田が、前節の栃木戦に続き、61分にコーナーキックからヘディングシュートを決め、北九州は点差を2に広げる。
いよいよ後がなくなった鳥取。10分後に、同じようにコーナーキックから横竹翔がヘディングシュートを決め1点差に詰め寄るが、鳥取にはあと2点が必要だった。
本城まで来てくれたサポーター、地元で声援を送ってくれている人のためにも、最後までゴールを奪う、勝ちたい姿勢を見せた鳥取。だが、シーズン中盤からのツケを返すには、少し遅過ぎた。試合はそのまま2−1で北九州がホーム最終戦を勝利で飾り、鳥取はこの瞬間、今シーズンのJ2最下位が確定した。
シーズン序盤は苦しんだ北九州だったが、現在のチームは随分と成長した。「ぶれずに、ずっとやって来たこと」(柱谷幸一監督)のおかげで、熟成度がかなり増し、見ていても楽しいサッカーになり、結果も付いて来るようになった。次節はアウェイで、J1昇格プレーオフ進出が掛かった札幌との対戦を控える。今節と同じように、勝ちだけを目指して来る相手。大勢のサポーターが待つアウェイの地で、成長を続ける自分たちの姿を見せて、今シーズンを締めくくりたい。
最下位が確定した鳥取だが、まだJ2・JFL入れ替え戦が決まった訳ではない。行われるなら大事な試合だが、前田浩二監督の「プロにおいて消化試合というのはない」の言葉通り、リーグ戦最終節が行われるホーム・とりぎんスタジアムで、最後まで戦う姿を見せる、プロとしての役目を果たさなければならない。
最後まで諦めずに戦う者にしか、ボールも勝利も引き寄せられないのだから。
以上
2013.11.18 Reported by 坂本真













