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[ 2005 ゆく年くる年:東京ヴェルディ1969 ] 大晦日の味スタ
2005シーズンは、東京Vを取り巻く全ての人々にとって辛く厳しいものとなった。
こんなはずではなかった。元日に天皇杯タイトルを獲得し、ゼロックススーパーカップでは横浜FMにPK戦で勝利。リーグ戦でも「優勝争いの台風の目になる」と目されていた。ところが、開幕戦を白星で飾って勢いに乗る選手たちを待っていたのは「勝てない」日々。シーズン前には「優勝」であった目標が「まず1勝」に変わり、いつしかチームが目指すものは「降格圏脱出」へ。そしてその願いもむなしく、最終戦を待たずして名門と謳われた東京VのJ2降格は決定した。
結局、東京Vが挙げた白星はわずか6。何故こうなってしまったのか。怪我人の続出、DFの崩壊、ワシントン頼みの攻撃…。運もなかった。さらには監督交代というフロントのテコ入れも後手に回り、「最後はなんとかなるだろう」という危機感の希薄さがあったことも否定できない。考え出すとキリがないが、いずれにしても残ったものは読売クラブ時代から続いた栄光の歴史に傷を付けた事実だった。
J2降格が決まった数日後、ユースから「ヴェルディ育ち」の平本一樹は、責任感から「眠れない」と呟いた。そして来季について話が及ぶと、缶ジュースを買おうと握っていた100円玉と10円玉を差し出し「もし年棒がこれだけだって言われても、自分はここでプレーします」と一言。絞り出すように続けた言葉が耳に残っている。「それで、ヴェルディを心底愛しているという人たちとJ1を目指したい」。その3週間後、クラブはヴェルディ黄金期の象徴・ラモス新監督の就任を発表した。「誰よりもヴェルディを愛している」と公言するラモス監督と共に、チーム再建への足がかりを模索していく。
2006シーズンは過酷な戦いになるだろう。が、失ったプライドは自分たちで取り戻さなくてはいけない。選手、監督、フロント、サポーター…。クラブを愛する者たちの力を結集すれば、難しいことではないはずだ。
きっといつか、悪夢の2005シーズンを「あの年があったからこそ」と懐かしく思い出せる日が来ると信じている。(text by 高木聖佳)2005年12月31日(土)
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