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[ 2005 ゆく年くる年:アビスパ福岡 ] 大晦日の博多の森球技場
改めて振り返ると長い、長い1年間だった。思うように勝てない展開に記者席の机を叩いたこともあった。41日間も勝ち星から見放されたときは頭を抱えた。劇的な逆転勝利に記者仲間と一緒に朝まで飲み明かしたこともあった。終盤の2連敗には、サッカーの神様は、ここまで来てもまだチームとサポーターを試すのかと思った。その末のJ1昇格。感激というよりは安堵感が先に立ったが、日が経つにつれ、ジワジワと喜びが沸いてきた。
自分たちの積み重ねてきたものを信じきれるか。チームを信じて支え続けられるか。それが試された1年だった。米田兼一郎(→京都)と増川隆洋(→名古屋)の移籍で、実質的には戦力ダウンの中で迎えた2005年シーズン。それでも、J1からの降格チームがなかったことや、松田浩監督の下、ほぼ同じメンバーで作り上げてきた安定感はJ2ではトップクラスだったこと等、アドバンテージは福岡にあった。苦しいときは必ずある。その時に自分たちを信じられるか。それがポイントだった。
8節の札幌戦から6試合連続で勝ち星から見放されたとき。16節の京都戦からの4試合で1分3敗と、どん底に突き落とされたとき。そして、38節の京都戦、39節の横浜FC戦と連敗を喫したとき。チームにとっては試練のときだった。しかし、福岡は自らの力で踏みとどまり、その都度、逞しさを身に付けていった。特に40節からの3試合は新生アビスパの集大成とも言えるもの。内に蓄えてきた力を一気に爆発させた。
2006年3月。福岡は2001年11月24日で止まったままになっている時計を動かすためにJ1のピッチに立つ。それは、この4年間よりも厳しく、苦しい戦いになるだろう。そんな戦いを、フロント、チーム、サポーター、メディア、そして福岡にかかわる全ての人が、今までと変わらぬ気持ちで、いや今まで以上に強い気持ちで戦いたい。福岡の新しい歴史を刻むために。(text by 中倉一志)2005年12月31日(土)
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