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2018年10月11日(木) 18:45

「2018 Jリーグ U-17チャレンジカップ」にて、VARのオンラインテストを実施【Jリーグ】

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「2018 Jリーグ U-17チャレンジカップ」にて、VARのオンラインテストを実施【Jリーグ】
今回で二度目となるVARのオンラインテストが、トップレフェリーたちが参加のもと実際の試合をモニタリングしながら実施されました

複数のモニターを凝視しながら、時折手元のボタンを操作して、オペレーターに指示を送る。疑わしいシーンがあればリプレイし、より詳細に映像をチェックする。いつ起こるかもしれないVARが介入するべき事象に備え、試合開始からタイムアップの笛が鳴るまで、緊迫とした時間が続いた。

去る9月15日~17日、J-GREEN堺で開催された「2018 Jリーグ U-17チャレンジカップ」。その裏では、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のオンラインテストが実施されていた。

VARは、映像を用いてレフェリー(主審)の判定を補助するシステムのことで、ご存じのように今夏のロシアワールドカップでも導入されている。2018年3月時点で、約40か国のリーグで使用している、あるいは使用を検討しているというデータがあり、近い将来、VARはワールドスタンダードとなる可能性を秘めている。

そうした流れがあるなか、Jリーグでも導入を視野に準備を進めており、日本サッカー協会とともにVARの人材育成に努めている。その一環として今回、オンラインテストが実施されたのだ。

VARのオンラインテストは、8月の「SBSカップ国際ユースサッカー」で一度行われており、今回で二度目の実施となった。昨年限りで第一線を退いた扇谷 健司さんや、現在もJリーグで主審を務める松尾 一さんらトップレフェリーたちが参加して、実際の試合をモニタリングしながらVARのスキルを高めていった。

今回のオンラインテストは、VARが1人、アシスタントVARが1人、映像の切り替えやリプレイ映像を編集するリプレイオペレーター1人の計3人によるセットで実施(ワールドカップではアシスタントVARが3人だった)。VARの前には上下に2台のモニターが置かれ、上のモニターにはライブ映像、下のモニターにはディレイ(3秒後)の映像がエリアごとに4分割で映し出される。

基本的にVARはライブ映像をチェックするが、後述する4つの事象について疑わしいシーンがあると下のモニターに目を移し、その場面を再確認。さらにオペレーターと連携しながら、細かく映像を検証していく。その間、アシスタントVARがライブ映像をチェックし、VARのサポートを行っていく。

そして実際に疑わしい場面を確認できた場合、VARは主審と交信し、その事実を伝える。今回、テストが行われた試合では、そうしたケースはなかったが、起こった場合にはワールドカップで見られたように、試合が止められ、主審がピッチレベルに設置されたモニターで映像を見ながら判定の確認を行う。

今回のオンラインテストで起こった事象としては、オフサイドが映像で確認され、一旦認められたゴールが取り消された。またその逆の事象によりゴールが認められたケースもあった。このように映像で客観的かつ明らかに確認できる場合には、主審はVARと通信するのみで判定を変更することが多い。

日本サッカー協会の小川 佳実審判委員長は「VARはその名の通り、レフェリー(主審)をアシスタントする存在」と説明する。

「主審に対して指示するのではなく、主審は自らの意思で判定するのが大前提。そこに情報を補ってあげることが、彼らの役割となるのです」

VARが判定に介入するのは、試合の結果に重要な影響を与える事象に限られる。具体的には「得点」「PK」「退場」「警告・退場の人間違え」の4つの事象で、主審が見えていないところでの暴力行為も、VARの対象となる。

また、VARの目的は映像をチェックして「はっきりとした明白な間違い」を識別して修正することであり、最良の判定を見出すものではない。基本的にVARの役割はいたって明快なものだが、小川委員長は決して簡単ではないと説明する。

「一見シンプルに感じられますが、主審の主観によって判断されるプレーは、ピッチ上ではたくさん起こります。VARがすべてのプレーについて情報を伝えると、主審ではなく、VARが試合をさばくことになってしまう。そうではなく、VARの目的は『最少の干渉で最大の利益を得る』ことにあります。主審の判断を尊重しつつ、どこまで情報を伝えるのか。そこがVARに求められる重要なポイントになるのです」

「主審の判断を尊重しつつ、どこまで情報を伝えるのか。そこがVARに求められる重要なポイントになる」と語った小川 佳実審判委員長
「主審の判断を尊重しつつ、どこまで情報を伝えるのか。そこがVARに求められる重要なポイントになる」と語った小川 佳実審判委員長

実際に今回、VARを務めた扇谷さんも、その難しさを吐露する。

「主審が判定するなかで、我々がチェックしたものをどこまで伝えていいのか、その判断が非常に難しいですね。ゴールやオフサイドは映像を見れば明確ですが、ファウルやハンドは主審の主観が基準になります。つまりクリアなものは伝えやすいのですが、そうでないものについては、判断が難しい。でも映像を見ていけば見ていくほど、全部クリアに見えてしまうんですよね(苦笑)」

そうした問題を解決するためにも、主審とVARが密にコミュニケーションを取ることが大事だと、扇谷さんは言う。

「あくまでも我々はサポートなので、『こうだ』とは断定できない。主審も自信を持って判断しているわけですから、こっちが正しいとはなかなか言い切れない。だから、試合中に密にコミュニケーションを取って、主審がどう考えているかを聞きながら、進めていくしかないんです。主審がピッチ上で見ている映像と、モニターに映し出される映像との違いを、上手く伝えていくことが大事になっていきますね」

今回はアシスタントVARを務めた松尾さんは、主審の立場としてVARの効果についての私見を語ってくれた。

「まずは映像でチェックしてくれることで、安心できますよね。今までは難しい判定があった時、あの場面はどうだったかなと振り返りながら過ごしていたのが、VARから指摘されることで、確証が持てる。これは選手も同じでしょう。さっきはPKだったのではないかと疑念を持ちながらプレーするのと、明確な答えが分かったうえでプレーするのとでは、パフォーマンスの質も変わってくるはずです。はっきりと分かることで、次の一歩に向かうことができる。これがVARの大きなメリットだと思います」

実際に今回、VARを務めた扇谷 健司さん
実際に今回、VARを務めた扇谷 健司さん

今回はアシスタントVARを務めた松尾 一さんは、主審の立場としてVARの効果についての私見を語ってくれた

試合会場に多くのカメラを設置したり、オペレーションルームに高性能の機材を入れたりする必要もある。もちろんVARのスキルを備えた人材の育成も重要なテーマだ。越えなければいけないハードルは多いとはいえ、VARは主審にとっても、選手にとっても、そして観る者にとっても、サッカーをより良いものにするだけのポテンシャルが備わっているのは間違いないだろう。

現時点で導入されるかは未定ながら、今回行ったようなテストを繰り返しながら、Jリーグは決して遠くはない未来に向けて、VAR導入の可能性を探っている。

 

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