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リスペクトの精神を言葉ではなく、感覚として子どもたちに身に付けてほしい。リスペクト・フェアプレーシンポジウム2020レポート

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2020年9月9日(水) 14:10

リスペクトの精神を言葉ではなく、感覚として子どもたちに身に付けてほしい。リスペクト・フェアプレーシンポジウム2020レポート

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リスペクトの精神を言葉ではなく、感覚として子どもたちに身に付けてほしい。リスペクト・フェアプレーシンポジウム2020レポート
「JFAリスペクトフェアプレーデイズ2020」が9月5日に開始され、「サッカーのある生活が戻ってきた 大切なサッカーを自分たちの手で守っていくために」をテーマに、オンラインでのシンポジウムが開催された

日本サッカー協会(JFA)が設置する「JFAリスペクトフェアプレーデイズ2020」が9月5日に開始され、同日に「サッカーのある生活が戻ってきた 大切なサッカーを自分たちの手で守っていくために」をテーマに、オンラインでのシンポジウムが開催された。

シンポジウムには、宇田川 貴生氏、(JBAインテグリティ委員長)、高橋 愛子氏 (日本ユニセフ協会)、池内 豊氏(JFAユース育成ダイレクター)、そしてJリーグの佐伯 夕利子理事が参加。山岸 佐知子氏(JFAリスペクト・フェアプレー委員会委員長)がモデレーターを務め、新型コロナウイルス感染症が、サッカー界、スポーツ界全体にどのような影響を与えたのか。ウィズコロナの時代にどのような意識や対応が求められるかなど、パネラーたちがそれぞれの立場から、意見を語り合った。

シンポジウムの冒頭では、JFAの田嶋 幸三会長がVTRで出演し、新型コロナウイルスに感染した自らの経験を語るとともに、リスペクト・フェアプレーの精神の重要性を、改めて示した。

新型コロナウイルス感染者に対し、社会的な問題となっているのが、SNS上などで見られる差別や誹謗中傷だ。クラスターが発生した高校サッカー部や、大学のラグビー部は、心無い言葉に傷を負っている。

田嶋会長は「私たちサッカー界は、リスペクト・フェアプレーの精神のもと、このような誹謗中傷や差別をなくしていかないといけません。誹謗中傷や差別が行われていけば、感染を隠ぺいし、検査を受けない人も増えてくる。そういう方向になっていけば、さらなる感染の拡大につながりかねません。サッカー界、スポーツ界からこのようなことをなくしていきましょう」と訴えた。

今年3月よりJリーグの常勤理事を務める佐伯理事は、スペインからリモートで参加した。3部リーグのクラブの監督を務めるなど、長くスペインのサッカー界で活動してきた立場から、日本とスペインの新型コロナウイルスへの対応の違いなどを語っている。

「スペインと日本の両国を比べたら、たくさんの気付きがありました」と佐伯理事は言う。

「スペインはリーグがインスペクターを各クラブに送り、チェックシートを用いながら、きちんとガイドラインを守っているかどうかを、監視していく方法でした。一方で、Jリーグはガイドラインを作り、クラブのみなさんを信じるところからはじめていた。Jリーグの職員を派遣することも、監視することもない。信頼をベースにした進め方というところに、両者の違いが見えました」

一方で、社会的な観点では、スペインでも差別や、誹謗中傷はゼロではなかったそうだ。

「ただそういった言動が沸いてくるときに、社会が許さない文化がある。市民の毅然たる対応が社会の中に存在し、リスペクトという形になってスペインの方々の文化を形成している。そういったムーブメントが社会をよりよくしていくエネルギーになっていると感じています」

社会だけでなく、サッカーの現場でも同様のことを感じるという。

「誹謗中傷や差別は他者を認めることができない人間のマインドから発していると思います。人種や文化、様々な異なる人間が構成する社会の中でそれを認めることができない私たちの愚かさが、そうした差別や偏見を生み出してしまいます。フットボールの現場の中でも、そういうことが少なからずある中で、リスペクトの精神を言葉ではなく、感覚として子どもたちに身に付けてほしい。それは、スペインの指導者の中に、共通の想いとしてあるのかなと思っています」

全国の指導者向けに行われたこのシンポジウムは、とりわけ小中学生の指導者が数多く参加。このコロナ禍において、子どもたちにどのように接するべきかは、興味深いテーマとなった。佐伯理事はスペインの現状を次のように説明した。

「スペインにおいては60日ほど、外出禁止令で散歩にも出られない状況が続きました。そのなかで子どもたちのリスペクトという点で、大人視点では図れない多くの課題が見られました。子どもはやはり、人と関わっていくことが重要です。それができない状況下で、大人たちが、子どもたちの接点を意識的に作ってあげようという動きが起こりました」

その状況で役立ったのは、インターネットだったという。

「今の時代では遠隔でつながれる。インターネットをフルに活用して、細かく丁寧に子どもたちとの対話を繰り返す。ピッチで顔を合わせてトレーニングしている時以上に、個々の接点が増え、一人ひとりのケアができました。そのことは、コロナ禍で得た大きな収穫だったと思います」

なにより指導者に求められるのは、子ども、選手を守るという意識だ。それは勝敗よりも重要なことだと、佐伯理事は訴える。

「スペインは3月に緊急事態宣言が出され、スポーツの活動が中止となっています。少しずつトレーニングが再開されてきましたが、各クラブでは厳格なガイドラインが作られています。そのなかで、まず最初にクラブから指導者に伝えられるのは、とにかく人が最優先だということ。子どもたち、選手を守ることが間違いなく徹底されています。私も指導者を30年近くやって来たので指導者の熱い想い、勝ちたい、勝たせたいという気持ちはよく分かりますが、そこにだけに囚われてはいけません。コロナと共存していかないといけない時代において、子どもたち、選手を守ることは絶対に忘れてはいけないことだと感じています」

シンポジウムの最後に、佐伯理事は差別、暴力の根絶と、リスペクトの重要性を改めて主張している。

「暴言暴力はもちろん、差別偏見は人として恥ずべき行為だということを、スポーツを通じて、浸透・徹底させておく。そういう意識改革を進めていくことができればいい。まだ時間がかかると思いますが、リスペクトとはまったく逆の言動が起こった時に、我々スポーツファミリーが、競技の垣根を超えて、そういう行為を許さない毅然とした態度・対応を貫き通していくことが、リスペクトの徹底になるのかなと感じました」

ウィズコロナの時代において、サッカー界、スポーツ界の社会への影響力はますます大きくなっている。よりよい社会、より安全な社会を作るうえで求められるのは、リスペクトの精神に他ならないだろう。

 

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