山本昌邦監督は、大久保嘉人（Ｃ大阪）を外し、18歳の大型ストライカー・平山相太（国見高）、2003年ワールドユース（ＵＡＥ）得点王の坂田大輔（横浜）を抜擢した。

　３月１日から始まるアテネ五輪アジア最終予選・ＵＡＥラウンド（アブダビ）に臨むU-23日本代表メンバー20人が16日午後、日本サッカー協会から発表された。18日の2006年ワールドカップアジア1次予選・オマーン戦（埼玉）メンバーから外れ、「五輪代表専念」とみられていた大久保が落選。代わって昨年末のワールドユースで活躍した平山、坂田らが選ばれた。中盤でもチーム発足時から左サイドを担ってきた根本裕一（大分）が外れ、森崎浩司（広島）、成岡翔（磐田）らがメンバー入り。大久保とともに１月からＡ代表に合流していた石川直宏、茂庭照幸（ともにＦＣ東京）は順当に選ばれた。

　メンバーリストが配られた瞬間、会見場にざわめきが起きた。五輪代表のエース・大久保嘉人の名前がなかったからだ。山本監督は「さまざまな角度から判断した。大久保は元旦まで天皇杯を戦い、その後、代表に合流した。スケジュール的もタイトだったし、今はコンディション的に100％の状態ではない。本人もそう感じている」とコメント。これまで攻撃の中核に据えていたストライカーをバッサリ切ったのだ。

　選ばれたＦＷは平山、坂田と田中達也（浦和）、高松大樹（大分）。山本監督は１月の宮崎合宿からコンビを組んできた平山と田中達を柱に据えたようだ。高松は平山と同じタイプで、高さと強さを備えたポスト役として計算ができる。残る枠は１つ。そこで指揮官はつい２ヶ月前、ＵＡＥで華々しい結果を出した坂田を選んだ。

「ユース組を重んじているわけではないが、彼らはＵＡＥの環境に慣れている。それを加味しながら選んだのは事実」と山本監督は正直な胸のうちを打ち明けた。

「ユース組重視」という傾向は、他のポジションでもハッキリしている。指揮官はユース組から徳永悠平（早稲田大）、菊地直哉（磐田）、今野泰幸（ＦＣ東京）、成岡、平山、坂田という６人の選手を抜擢した。ＵＡＥという土地を熟知し、アウェーで戦った経験を買ってのことだ。

　若い世代の台頭に押された格好になったのが、2002年秋のアジア大会からチームの中心だった根本、森崎和幸（広島）、田中隼磨（横浜）らだ。彼らは最後の最後でメンバーから外れた。彼らはそれぞれのポジションの「スペシャリスト」だが、今回は20人で３試合を戦わなければならない。そういう事情もあって、２つ以上のポジションをこなせる「ユーティリティプレーヤー」にアドバンテージがあったようだ。さらに、負傷の阿部勇樹（市原）のメンバー入りが見送られた。山本監督は「外れた選手たちは日本ラウンドまでにコンディションを100％に上げて戻ってきてほしい」と奮起を促した。

　U-23日本代表は19日、大阪に集合。21日にU-23韓国代表と長居スタジアムで壮行試合にのぞみ、23日にＵＡＥに向けて出発。３月１日の初戦・バーレーン戦に備える。


2004.2.16 Reported by 元川悦子


・オリンピック・アジア最終予選／UAEラウンドメンバー
・山本昌邦監督の会見コメント