今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【FCBARCELONA ON TOUR JAPAN 2004】磐田 vs FCバルセロナ レポート:磐田選手も脱帽! 世界の技に酔いしれた夜。(04.08.05)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【FCBARCELONA ON TOUR JAPAN 2004】
8月4日(水)18:30キックオフ/静岡 ジュビロ磐田 0-3 FCバルセロナ
試合終了
■得点者:
29分/ラーション(アシスト:ロナウジーニョ)
35分/ラーション(左CKからヘッドで)
62分/ルイス・ガルシア
-----------

 FCバルセロナの日本での2戦目。Jリーグでもっともサッカーの質を誇れるチーム、磐田との対決。だが、雨のエコパを舞台に繰り広げられたのは、今日も「バルサ劇場」、そして「ロナウジーニョ劇場」だった。
 
 バルサ(FCバルセロナの略称)の先発は、鹿島戦とGKも含めて3人代わっただけで、ロナウジーニョ、ラーション、ジィウリーの3トップも変わりなく、手抜きは一切なし。対する磐田は、代表、U-23代表の5人がいない中、ナビスコカップの過去2試合と同様、ボランチの服部が3バックの中央に入り、名波がボランチに下がって、トップ下に前田。中盤の両サイドは、スピードのある川口が右で、2年目の成岡が左。2トップはおなじみ中山、グラウという形。
 
 立ち上がりから、両チームともボールに対して素早くしっかりとプレッシャーをかけ、バルサの選手もボールを取られたら自ら全力で戻って奪い返しにいくという本気の姿勢。そんな中で、バルサが3分に得たFKから、ファン・ブロンクホルストが左足のシュートをバーに当て、跳ね返りからロナウジーニョがダイレクトでシュートを打ち、わずかにゴールの右に外れるという先制パンチ。まずは舞台あいさつといったところ。ロナウジーニョにとっては、このエコパは、2年前のワールドカップでイングランドと戦い、自らの1ゴール(直接FK)1アシストで逆転勝利を果たした思い出のスタジアムだ。
 
 バルサの布陣は4−3−3の形で、中盤の底のマルケスが2人のセンターバックの前でフォア・リベロのような仕事を行ない、その代わり両サイドバックが高い位置をとって、状況によっては3バックのようにも見える。Jリーグのチームでは見たことがないシステムだ。とくに3トップは、左のロナウジーニョ、右のジィウリーが、サイドに大きく張ったり、中に入ったりと自由に動き、非常にマークしづらい。そのため、3バックの磐田はとくにやりにくそうで、マークがズレたり、DFの3枚が左右に大きく開かされてギャップができたり、3トップをマークしたらその後ろから2列目が追い越してきたり、サイドバックがオーバーラップしてきたりと、戦術的にも主導権を握られてしまう。このあたりは、さすが世界のバルサ、個人技だけのチームではなく、非常にシステマティックに連動性を持って攻撃を仕掛けてくるという印象だ。
 
 磐田のほうは、さすがに1対1では攻守ともほとんど勝てず、バルサのプレッシャーの前に、「ちょっとビビっている選手がいた」(中山)というように前半は少し消極的なプレーが目立ち、徐々に防戦一方となって、ラーションのヘディングなどで決定的なチャンスを作られる。
 そして29分、左サイドでボールを受けたロナウジーニョが、服部、鈴木をテクニックとスピードで続けざまにぶち抜き、中をよく見て余裕のラストパス。これをラーションが冷静に決めて、バルサが先制点を奪う。磐田としても、日本有数の守備能力を持つ2人があれほどきれいに抜かれたらどうしようもなかった。
 さらにその6分後、ロナウジーニョとの接触で足を痛めた鈴木がピッチ外に出ているときの左CK。ファン・ブロンクホルストのキックからラーションが豪快なヘッドを決めて2点目。このとき、鈴木が抜けたことで急きょラーションのマークについていたのは成岡だったが、これは完全なミスマッチ。ラーションとの競り合いはさすがに荷が重すぎた。
 
 そして、鈴木がそのまま負傷交代となり、代わりに今季初出場の上本が入って、さらに苦しい状況になったが、その後は磐田の選手たちも少し落ち着き、バルサの戦い方にも慣れて、危ない形を何度も作られながらも、何とか踏ん張って決定的なシュートを打たせない。
 後半の立ち上がりは、磐田のボールを持たない選手の動きが良くなって、リズムの良いパス回しで押し気味の時間帯を作った。1分には、後半から入ったルーキーのカレン・ロバートが気合いのドリブルで左サイドを突破して精度の高いクロス。ニアに中山がフリーで入ったが、シュートを打たずにスルーして、グラウの手前でカットされる。さらに、3分には名波の絶妙な左クロスに、グレミオ時代からのロナウジーニョの親友グラウがダイビング・ヘッド。これがわずかにゴール左に外れて、残念ながらゴールならず。このシーンが磐田にとってもっとも惜しい場面だったが、10分すぎまでは名波のパスも冴えてあわやという場面を作り、このあたりは磐田が面目躍如。
 
 それでも、身体の切れも良いロナウジーニョの個人技は止めようがなく、11分の誰も予測できないヒールパスや、12分の足先にひっかけるようなフェイント(彼の十八番)で、決定機を演出し、これを楽しみに雨の中詰めかけたファンに大喝采を浴びる。さらに17分には、ロナウジーニョが自らしつこくボールを追いかけて高い位置で奪い、あっち向いてホイのノールック・スルーパスで、ルイス・ガルシアによる3点目をアシスト。敵も味方もため息をつくしかなかった。
 
 その後は、バルサが多くの選手を試しながら戦い、両チームに疲れが出た中でバルサが主導権を握ったが、磐田も何とか追加点を許さずに守りきって0−3のまま試合終了。平日の雨のナイトゲームながらエコパに大集合した4万1千人以上の観客も、十分にロナウジーニョ劇場を堪能して帰路についた。
 磐田の選手たちも、試合後の表情はさすがに脱帽という感じだったが、それで落ち込むというよりも、素直に相手の力を認めたうえで、そこから少しでも学び取りたいという姿勢を見せていたのは頼もしい。とくに、中山、名波、服部、鈴木といった百戦錬磨のベテラン勢にも非常に大きな刺激になったようで、その意味でも大きな収穫のある試合だったと言えそうだ。


2004.08.05 Reported by 前島芳雄

以上
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着