FamilyMart DREAM MATCH
8月8日（日）19：00キックオフ/横浜国際総合競技場
横浜FM 2-1 レジーナ

■得点者：
2分 栗原勇蔵(横浜FM)　
46分 ディオニージ(レジーナ)
87分 大橋正博(横浜FM)
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試合前に配られたスターティングメンバーリストには、前夜北京でアジアカップ決勝の激闘を終えたばかりの中村俊輔の名前が記されていた。帰国からわずか5時間後、前夜は中国サポーターの騒ぎに巻き込まれるなどでわずか1時間しか睡眠をとることができなかった。しかし彼はレジーナ選手の先頭、すなわち主将としてピッチへ入場。かつてのホームスタジアム横浜国際総合競技場に駆けつけた35,751人の観衆から大きな声援を受けての堂々の“凱旋”を果たした。

キックオフ直後、いきなり見せ場がやってくる。開始56秒、ゴール前で得たフリーキック。昨晩まで何度も日本代表に好機を演出し続けたシーンがよみがえる。中村は左足を振り抜くとゴール前のデ・ローザへピンポイントのクロス。惜しくもシュートは外れたが、いきなりスタンドを盛り上げる。この後も、中村は運動量こそ多くないもののレジーナのチャンスを次々と生み出す。最大の見せ場は29分、ペナルティエリアやや左サイド約21メートルからのフリーキック。壁の向こうには何度も東戸塚の練習グランドでともに練習したかつてのパートナー、GK榎本（達）が待ち受ける。スタンドのボルテージに後押しされて放たれたキックは壁を越えゴールネットを揺らすかに見えたが「読み通りのコース（笑）」（榎本）で惜しくもゴールならず。しかし前日までのハードな戦いを感じさせない、鋭いキックの切れ味は中村俊輔の“凄み”を感じさせた。中村は「予定外」の後半6分までプレー。スタンドからの割れんばかりの大声援を受けてピッチを後にした。

中村の交代の後、試合を盛り上げたのは後半から出場した松田（横浜FM）。松田も前日まで中国でアジアカップを戦っていたが、試合出場機会が少なかったため、「何としてでも試合に出ようと急いで横浜まで戻って」のプレー。交代直後には3バックの連係ミスを突かれ失点するものの、中村が交代する直前の後半5分には激しいタックルを浴びせるなど岡田監督へ存在感をアピール。相手ゴール前でのセットプレーなどでの積極的な姿勢が目をひいた。

試合はレジーナの勝利への強い意欲が、荒れ気味の展開を招いてしまう。フレンドリーマッチでは珍しく警告が6枚。局面局面での激しさはさすがにセリエAのクラブとも思わせたが、激しさが紙一重で粗さとなってしまった昨日の試合。試合終了直前には、小競り合いの中で横浜FM・栗原が鼻骨を骨折するなど、少々後味が悪い試合になってしまった。開始2分にはコーナーキックから豪快にヘディングシュートを叩き込むなど活躍を見せていた栗原だけに残念な負傷だった。

横浜FMは素早くボールを動かし相手ゴール前へ迫るという、チームの狙いを完全に実行できたわけではないが、坂田、大橋、山崎などの若手が積極的にプレー。岡田監督が懸念する選手層の厚さが徐々に増してきた印象を受けた。前半の4バックから後半は3バックにシフトチェンジするなど様々な試みを行ったこの試合。北海道合宿の疲れがやや見えたものの、大目標である2ndステージを制覇しての完全優勝へ、岡田監督を含めチーム全体から次週に控える開幕戦（清水戦）に向けて“視界良好”といったところか。

中村俊輔の“凱旋”と横浜FMの順調な仕上がりぶり、横浜国際総合競技場で様々な収穫を感じた試合となった。

以上

2004.8.9 Reported by 小島耕