8月8日(日) 2004 J2リーグ戦 第26節
山形 1 - 2 京都 (18:04/山形県/4,780人)
得点者:'22 大島秀夫(山形)、'50 崔龍洙(京都)、'58 中払大介(京都)
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1点ビハインドで後半をスタートした京都は、2トップの一角を中山から黒部にスイッチ。昨年まで指揮を執っていたチームと初めて対戦することになった京都・柱谷幸一監督は、「ラインを上げて中盤をコンパクトにしよう」「クロスをどんどん上げていこう」という指示も、黒部とともにピッチに送り込んだ。
一方、1点をリードする山形の鈴木監督はハーフタイムで、「後半の立ち上がり15分は絶対に失点をしないように」と選手たちに指示を出していた。ところが、「絶対に失点をしない」どころか、13分までに2点を献上してしまった。
京都はこれが今季初の逆転勝利で、山形に3連勝。順位も5位にじわりと上げた。勝ち点で京都に並ばれた山形は、得失点差で6位に後退した。
京都の前線はここ3試合と同様、トップに崔龍洙、1.5列目に中山を置く布陣で臨んだ。しかし、これは山形のディフェンス陣にとっては、比較的楽な条件だった。
ゴール前でのマークは当面は崔ひとり。これは山形のセンターバック2人で、落ち着いて対処できた。時折り京都の左サイドからSB三上が攻め上がり、ゴール前に入り込んでいた美尾にクロスを上げたり、崔が右サイドに移動して攻撃の起点になったりした。危ない場面もあったが、なんとか防ぐことができた。
攻撃に転じた時も、ディフェンスラインのボールにはほとんどプレッシャーが掛けられず、余裕をもってパスを回すことができた。しかし、ひとたびボールが中盤に入ると、京都の激しいチェックが待っていた。ボールを持ち前を向くことは、高いリスクを伴った。それを避けようと長いボールをフォワードに当てようとしても、CB萩村を中心としたディフェンス陣がはじき返した。
しかし17分を過ぎたあたりから、山形が攻略の糸口をつかみ始める。
中盤の右サイド・星が起点となり、時にはドリブルで突破、時にはオーバーラップしてきた太田とのコンビネーションで、上がり目の三上の位置からジャブを打ち始める。
そして22分、星がフェイントで三上を振りきり右からクロスを入れると、ファーサイドで大島が待ち受けていた。マークについていた荻村がジャンプのタイミングを若干誤ったことも幸いしたが、頭で合わせて先制点をもぎ取った。
この1点で山形は勢いづく。
33分、内山がボックス内でまさにシュートを打とうとしたその時、相手との接触で転倒。PKかと思われたが、主審はファウルを取らなかった。43分にはまたも内山が倒され、今度こそ本当にPKに持ち込んだが、キッカー大島のシュートはバーを直撃。追加点はおあずけとなった。
ハーフタイムをはさみ、後半4分、星からの大きなサイドチェンジでフリーになった秋葉がキーパーと1対1に。ところが、間合いを詰めてきたGK平井めがけてまともに打ってしまい、ゴールを阻止された。
再三の得点機を活かしきれない山形に、勝利の女神が愛想を尽かしたのだろうか。京都が追いついたのは、この直後のことだった。
中払から右に展開したボールをSB鈴木が受け、ゴール前へクロスを供給。ゴールからやや遠い軌道を描いていたが、これにファーサイドから猛然と突っ込んだのが崔。飛び上がってヘッドで弾いたボールは、ゴール前の集団の頭上を通過しゴールネットに突き刺さった。
逆転弾はこの8分後、またも右からのクロスだった。崔がはたいて熱田が中に折り返したボールに、2列目から中払がダイビングで合わせた。やや距離はあったが、ゴール前の対応に追われていた山形は完全に虚を突かれ、フリーで打たせてしまった。
黒部の投入は、間違いなく逆転劇のきっかけだった。しかし、それをきっかけたらしめた要因は、山形側の対応にもある。
後半開始早々の山形の状況を、SB太田は「1点を取って慎重になりすぎ、全員が引き過ぎた」と振り返った。鈴木監督も1点先制してからの消極性を、試合後の記者会見の中で指摘している。
ゴール前で攻撃の圧力を強めてきた相手に対し、マークする標的が1人から2人になったことで対応に追われ、さらに、守備が引き気味になったことで、ロングボール配球のお膳立てをしてしまったことになる。
「しっかり守るということは、引き過ぎることではない。みんなでその意思統一をしないと、必ず追いつかれる展開になる」(太田)
「絶対に失点しない」の解釈の仕方・方法論でチーム内に存在する温度差を、山形は埋めていかなければならない。
ここ2試合、勝ちきれない試合が続いていた京都だったが、試合前、最近のチームの状況について柱谷監督は、「課題のディフェンスが安定し、90分の中での安定感は出てきた。渡邉や六車などの若手もかなり使えるレベルまで上がってきた。全体のチーム力も上がってきて、(J2で)2位は十分いけると思っている」と、J1復帰への手応えを表現していた。
そこへ今季初という逆転での勝利。
「こういうゲームを勝ちきっていくっていうことがチームの自信にもなるし、これからの昇格レースの中でいいゲームができた」と今後につながる価値ある勝利を喜んでいた。
2004.8.9 Reported by 佐藤 円
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第26節 山形 vs 京都 レポート】京都が今季初の逆転勝利。それを可能にしたものとは?(04.08.09)
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