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【J2:第27節 福岡 vs 湘南 レポート】福岡、3試合連続完封勝利で3位に浮上。今度こそ混戦を抜けられるか(04.08.12)

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8月11日(水) 2004 J2リーグ戦 第27節
福岡 2 - 0 湘南 (19:04/博多球/7,542人)
得点者:'40 千代反田充(福岡)、'83 田中佑昌(福岡)
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 両チームの置かれた違いが明確になった試合だった。モチベーションの差とでも言うのだろうか、「We WILL Make it」をスローガンにJ1昇格を目指す福岡と、チーム再建中の湘南。戦いに臨む態度が違っていたとしても、それはやむを得なかったのかもしれない。しかし、失うものは何もない湘南に、もう少しアグレッシブに戦ってほしかったと思うのは私だけだろうか。現実問題として両チームの間にある実力差を考えれば、守ってカウンターという戦術は決して誤ったものではない。しかし、あまりにも前半の戦い方が消極的過ぎた。その姿勢が、そのまま結果に反映したと言える試合だった。

 実力上位のチームを倒そうと思ったら、守っていてはやられるだけだ。たとえ善戦できたとしても、結局は実力差が試合結果に反映する。しかし、湘南は立ち上がりから守りに入った。中盤でプレッシャーをかけずに低い位置に留まり、両サイドからの攻撃を警戒するあまり、最終ラインに6人もの選手が並ぶこともしばしば。福岡が回すボールを目で追うだけで、奪ったボールも前方へ向けて蹴りだすパターンを繰り返す。前線では高田、坂本がいい動き出しをするとは言っても、ただ1本のロングボールだけではゴールを奪うことは難しい。開き直った後半には、選手間の連携も見られ、何回もいい形を作っていただけに疑問の残る試合運びだった。

 福岡も決して万全の状態ではなかった。連戦が続くハードなスケジュール。キックオフ時点で30度を超す気温。加入後間もないエジウソンと周りの連携も十分とはいえない。加えて、アウェイの試合では常に長距離の移動を強いられており、疲労も蓄積している。「カウンタープレーなのか、サイドチェンジをきちっとやって、ある程度の時間をかけて攻めるのか、という部分がうまくいかなかった」(倉田安治コーチ・福岡)というのも、こうした事情が影響していたのかもしれない。しかし、やはり目標が明確になっているからだろう。ミスも多く、攻め切れなくても、チーム全体のバランスは崩れない。そして40分、湘南のマークがずれたところを見逃さず、CKに千代反田がフリーで合わせて先制点を奪った。「失点0で、少ないチャンスを生かしてでも勝つということが今日のテーマ」(倉田コーチ)。その狙い通りに前半を終えた。

「限りなく前目に、前目にプレーしよう」(望月達也監督代行・湘南)。リードを奪われたことで、やることが明確になった湘南は、後半に入ると前半とは変わって積極的にボールを運び出した。内転筋の違和感により大事を取ってエジウソンを下げた福岡が、高い位置にボールを収められなくなったことも手伝って、福岡陣内でのプレー時間が増えていく。しかし、攻めているように見えても後半に湘南が放ったシュートは3本。「やはり最後のセンタリング、シュートの場面でのひと工夫が足りないのと、その精度の(福岡との)違いというのが、今のチームの力」(望月監督代行)。改めて振り返ってみれば、湘南は決定的なチャンスを作ることができなかった。

 そして、福岡はゴールという結果でも湘南との違いを明確にする。決めたのは、前日の10日にU-19日本代表に選出されたばかりの田中。83分、ホベルトがヘディングで前線に送り込んだボールに田中が鋭く反応。裏へ抜け出すと、トップスピードに乗ってゴールへ。そしてスピードを緩めることなく、右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。福岡が後半に放ったシュートは、これが3本目。後半を通しても4本しかシュートを打っていない。しかし、「決めるところを決めていれば、福岡のように2-0になるわけだし、だから上位にいるんだと思うし、そこのところが差」(高田保則・湘南)。これも目標が明確になっているチームと、そうでないチームの差なのだろう。

 さて、福岡はこれで3連勝。しかも、3連続完封と守備に安定感が戻ってきた。「もう一度ここからやり直そうという場所を持っているのが強み」(倉田コーチ)。そして選手全員が帰るべき場所と、無失点に抑えるということについて共通認識を持っていることがチームの建て直しに成功した理由だ。監督、コーチはもちろん、試合後、報道陣に囲まれて質問に受け答えする選手たちは、誰もが「無失点に抑えること」と必ず口にする。こういうチームは強い。昨年は第25節から7連勝を飾って一気に順位を上げた福岡は、今年も25節から3連勝。チームの戦い方は、「イケイケの戦い」から、「我慢する戦い方」に変わったが、サポーターの期待は高まる。鍵を握るのは次節の川崎F戦(8/15 等々力)。「強いチームにどれだけ出来るかというチャレンジャーの気持ちを持って思い切ってやりたい」。千代反田は力強く宣言した。
 
以上

2004.08.11 Reported by 中倉一志
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