8月11日(水) 2004 J2リーグ戦 第27節
水戸 1 - 1 大宮 (19:01/笠松/2,952人)
得点者:'3 小林康剛(水戸)、'78 森田浩史(大宮)
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開始3分の水戸の小林康剛の先制点が、この試合の流れを決定づけた。4対17。両チームのシュート数を比較すれば、この試合で何が起きていたのかは一目瞭然だろう。
そもそも水戸と大宮というチームを比較すれば、大宮が有利な立場にいるのは間違いなかった。そうしたはじめから存在する実力差を埋めるために、力で劣るチームの知恵、もしくは戦術と呼ばれるものが試されることになる。
「またしても引き分けということで、結果的にはよく逃げ切った」
会見で水戸の前田秀樹監督はそう言葉を絞り出した。試合の大半を大宮に支配される苦しい展開で勝ち点1をもぎ取った。その表情からは、試合中に感じていた苦しさがにじみ出ているようだった。もちろん真っ向勝負を挑んでいては勝ち点1すら奪えなかっただろう。それを理解していたからこそ、水戸はリードを奪った後、勝ち点3を守りに行った。
そうした水戸に対して、大宮の三浦俊也監督は「攻撃的に行って選手交代もドンドンやっていきましたが、簡単に言えばアンラッキーでしたし、(結果的に勝てなかったのだから)技術的な問題があるのかもしれません」と振り返っている。そして水戸の姿勢に対してこのようなことも付け加えた。
「同じJ2でプロフェッショナルなサッカーをする中で、前半の20分からもう時間稼ぎをするというサッカーはいかがなものなのかなと思いました」
なるほど、そういう批判が出るのは仕方ないかもしれない。しかしそうせざるを得ない力の差が両者にはあったのである。実力差がある中でどのように試合をコントロールするのか。そういう指揮官同士のせめぎ合いが、実はおもしろいのである。実際、圧倒的に試合を支配する大宮の猛攻を、ポストという12番目の選手に助けられながらしのぐ水戸のがんばりは、なかなか痛快なものがあった。このまま1−0で行くのか、と思われた終盤の33分に森田浩史が同点ゴールをねじ込んだ場面では、両チームの心情を想像して「これがサッカーだよなぁ」とにやけてしまった。
1−1に持ち込んだ後、試合はまだ10数分残されていた。そうなると大宮は一気に優位に立つことになる。大宮はそれまでの時間帯となんら変わらず猛攻を続けたが、心理的に劣勢に立たされた水戸のがんばりもあって最後まで逆転ゴールは奪えなかった。両者の死力を尽くした戦いは見応えがあり、一方に偏ってはいたが、シュートシーンが多くとてもおもしろい試合だった。
ちなみに試合後に前田監督が水戸のサッカーについて言葉を費やして説明していた。曰く「どこでボールを奪うのか、その位置が低いだけなんです。前からプレッシャーをかけて行けば、高い位置でコンパクトになる。ただし相手にはバレーという選手がいますから、DFとGKの間はなるべく空けたくなかった。だから自陣の中でプレスをかけて行こうと、そういうことです。守備的だと言われますが、そういう訳じゃないんです」。
チームの責任を1人で背負い込む監督という立場の厳しさがにじみ出ているようでもあり、前田監督の責任感が出ているような場面でもあった。
2004.8.12 Reported by 江藤高志
以上
J’s GOALニュース
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