3月23日（日）ヤマザキナビスコカップ 東京Ｖ vs 清水（15:00KICK OFF/味スタ）
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リーグ戦開幕から公式戦３戦１分２敗ながらも「決して下を向く内容ではない」と、３年ぶりのJ１での戦いに監督、選手共に確かな手応えを掴んでいる東京Vだが、一方で１勝も挙げられていないという現実は試合を重ねるごとに重みを増してきているのもまた事実だ。

「あと３０何試合あるなどと言っている場合じゃない。J２の時のように、内容よりも結果にこだわることも必要だと思う」（高木義成）。シーズン初めに７連敗を喫し、第２〜４クールは決して負けは許されないというとてつもない危機感の中戦い抜き、J１昇格をもぎとった昨年の『勝利への執念』を再び思い出し、今度こそJ1復帰後初勝利を祝いたい。

常々「コンディションの良い選手から使っていく」と明言している柱谷哲二監督は、２０日（木）に行われた磐田とのヤマザキナビスコカップ初戦で練習での好調ぶりを買ってFW井上平、MF福田健介、DF飯田真輝らに出場機会を与えるなど、先発メンバーをリーグ戦とは６人入れ替え、初の３−５−２システムで挑んだが、前半終了間際に退場者を出した結果０−２と不完全燃焼のまま完敗した。だが、その中でも彼らのパフォーマンスは決して悪くは無く、J１という舞台を経験させられたことはプラスだったはずだ。

「コンディションの良い選手」を重視するとすれば、中２日で迎える今節は、前節を欠場したDF土屋征夫、服部年宏、和田拓三、MF飯尾一慶、廣山望ら疲労が癒えた主力組を起用しない理由はない。さらに、これ以上初勝利を先延ばしにもできないとなると、回復具合によって若干の変更はあるかもしれないがほぼ開幕戦のメンバー、布陣に戻して挑むと考えていいのではないだろうか。

勝利への最大のポイントは、攻撃だ。３試合の合計得点がわずかPKでの１点のみでは、勝ち点３は到底見えてこない。しかし、昨年のフッキのようなストライカーは不在だが、レアンドロ、廣山の巧さ、飯尾、井上、河野広貴の仕掛け、福西崇史の飛び出し、富澤清太郎、和田拓三のミドルシュート、土屋、那須の高さなどピッチに立った選手が得点への意識を高く持ちそれぞれの特長を生かせれば、ゴールはそう遠くはないはずだ。ディエゴに加えボールキープできる福西が入ったことで速いだけではない、時間を作っての攻めが可能になった。そこをいかに上手く使うのか、注目したい。

一方、開幕戦を落としたものの、J第２節、ナビスコ杯初戦を快勝した清水は、徐々に上り調子と言えそうだ。
チームのエースだったチョ・ジェジンがチームを去り、その穴をいかに埋めるかが１つの課題ではあったが、矢島卓郎、岡崎慎司ら若いストライカーがしっかりと得点を挙げているのは大きい。加えて前試合では、昨年５月２３日以来の先発出場を果たした元日本代表・西澤明訓が３得点全てに絡む活躍を見せ復調をアピールし、チームはさらに勢いづいている。また、好不調が直接チームの結果に影響を及ぼしてしまう大黒柱MF藤本淳吾も開幕から活躍を続けているのも心強い。新外国人FWマルコス・アウレリオとのコンビネーションなど、まだまだ全開とはいかないだろうか、この試合でも攻撃面での爆発は十分期待できそうである。

得点力があるだけに、攻撃のチームという印象の強い清水だが、主将DF高木和道は「実はDFからのチームだと思っています」と話す。「まずしっかりとDFして、そこから前につなげていくのがウチのサッカー。特に不要な失点を減らすことがDFとして今年の最大の課題」だという。その意味では、前試合で早い時間に先制した大事な１−０の状況から一時同点に追いつかれたことは課題が残ると言えそうだ。３試合で１得点の東京Vを相手に、今季初の完封劇をみせることができるだろうか。

「１勝に大会の差はない」というDF和田（東京V）の思いは両チーム全員同じに違いない。『一戦集中』、ただそれだけだ。

以上

2008.03.22 Reported by 上岡真里江