5月11日（日）J2 第13節 福岡 vs 広島（13:00KICK OFF/レベスタ）
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　９日、福岡の練習場である雁の巣球技場で、練習を終えた選手たちがピッチの中央に車座になって話し合いを始めた。選手たちの発案で行われた選手ミーティング。マーク・ルダンが、そしてタレイが自分の思いを語る。選手たちは熱心に耳を傾け、それぞれの意見をぶつけ合う。チーム状況は厳しい。しかし、この状況から抜け出すためには自分たちでの力で道を切り開くしかない。苦しい今だからこそ前を向いて進もう。そんな気持ちの表れたミーティングだった。

　振り返れば第１クールも残すところは３試合。福岡は、広島、横浜ＦＣ、Ｃ大阪とＪリーグ昇格争いを繰り広げるライバルとの対戦を控える。現在の状況を脱し、Ｊ１昇格争いにとどまるには絶対に譲れない戦いが続く。その初戦となる広島との戦いでは、連敗から脱することが最低条件になる。「絶対にやれると思っているし、みんな重要なゲームだと分かっている。それぞれが100％の力を出してやってくれると思う」（布部陽功）。気持ちの整理は出来た。後は自分たちの力をピッチにぶつけるだけだ。

　その福岡は布陣を３バックに変えて戦いに臨む。「大事なことは選手たちにとってどういう形が一番やりやすいかということ。システムを変更することで選手がやりやすくなるのであれば、それがいい」（リトバルスキー監督）。ポイントは、ロングボールと、ゆったりとしたリズムのパスワークを巧みに使い分ける広島の攻撃に対し、コンパクトなゾーンを保ち続けること。中央でプレーすることになるタレイ、城後寿、鈴木惇の３人が、前後のバランスをいかに取るのかに注目したい。

　一方、前節の仙台戦で、ロスタイムに痛恨の決勝ゴールを浴びて４試合ぶりの敗戦を喫した広島。しかし、その実力はゆるぎない。得失点ともにＪ２トップ。湘南（２位）、鳥栖（３位）に勝点２差に迫られているとはいえ、１ランク上の実力を有していることは誰もが認めるところだ。最終ラインでのゆったりとしたボール回しから、ストヤノフのロングフィードを起点に一瞬にして攻撃に転じたかと思えば、相手が引いて構えれば、しっかりとパスをつないでビルドアップする。その緩急自在なスタイルは他の追随を許さない。

　動き出しの良さと一瞬のスピードを武器に、いかなるときもゴールを狙い続ける佐藤寿人。正確なロングフィードでチャンスを演出したかと思えば、機を見てドリブルで持ち上がって高い位置で攻撃のポイントを作るストヤノフ。佐藤寿人が動き出すことで出来るスペースへ２列目から飛び出してくる高萩洋次郎。そのほかにも五輪代表候補の槙野智章、青山敏弘らをはじめ、各ポジションに能力の高い選手を揃える。同じく五輪代表候補の柏木陽介が怪我のために戦列を離れているが、チームの力にかげりはない。

　広島は連敗を避けたいところだが、特別に何かを変える必要はないだろう。いつものように自分たちのサッカーを貫き、勝ちにこだわる姿勢を見せればいい。その広島に、福岡がどう切り込んでいくかがゲームの見所。最終ラインで攻撃の起点となるストヤノフにどこまでプレッシャーをかけられるか。そして、佐藤寿人のマークはもちろん、２列目から飛び出してくる相手にどこまで着いていけるか。それが勝敗の行方を決めることになりそうだ。

　どんな状況でも、どんな相手であっても、常に大切なのは目の前の試合。そういう意味では、福岡にとっても、広島にとっても重要な試合であることは変わらない。しかし、その重要性は、福岡により大きいことは言うまでもないだろう。その試合で、過去の流れを払拭し、自分たちの思いの丈をピッチとボールにぶつける姿を見せてくれることをレベルファイブスタジアムのサポーターは強く望んでいる。

以上

2008.05.10 Reported by 中倉一志