5月10日（土） 2008 J2リーグ戦 第13節
草津 1 - 3 Ｃ大阪　（13:03／正田スタ／2,301人）
得点者：4' 小松塁（Ｃ大阪）、79' 小松塁（Ｃ大阪）、83' ジェルマーノ（Ｃ大阪）、89' 山崎渡（草津）
携帯でこの試合のダイジェスト動画を見るなら - ライブサッカーＪ -
----------
草津とＣ大阪の間には、確かに実力差が存在した。それを考えれば１対３というスコアは妥当な結果だ。いや、それ以上の差がついても、おかしくはなかった。だが草津にとって今節は単なる１試合ではなかった。クラブ初の連勝、今季ホーム初勝利が懸かった重要な一戦だった。だからこそ、勝たなければいけなかった。草津が自分たちのサッカーをしないで簡単に負けたことが残念でならない。

　４―３―３という攻撃的なシステムを選択するＣ大阪に対して、草津は相手の布陣に近い４―３―３もしくは４―５―１という変則的なシステムを敷いた。しかし、草津のシステムは、その全容を正確に確認する時間もないまま、Ｃ大阪の攻撃陣によってズタズタに切り裂かれた。

　先制点は開始わずか４分に生まれた。中盤でボールを受けた柿谷が、熊林、後藤のチェックを難なくかわしてバイタルエリアの香川へと配給する。香川は左サイドを駆け上がってきた尾亦とのパス交換でペナルティエリアに侵入すると、３〜４人の守備陣を引き連れて左サイドを突破しファーサイドへクロス。「塁さん（小松）がいるのが見えたので、上げれば決めてくれると思った」（香川）。そのボールを小松がヘッドで押し込み、ゴールネットを揺らす。若い才能を結集させた完璧なゴールで、Ｃ大阪が一気に主導権を手繰り寄せる。

　草津は、長身ＦＷ小松のシャドー的な位置で流動的に動く香川、柿谷の二人をつかまえることができずに防戦一方。また左サイドを容赦なく上がる尾亦の攻撃参加も抑えることができず、守備が混乱に陥っていく。「サイドから上がってくる選手に対応できずに、数的不利になるシーンが多かった」（佐田）。それでも草津はＣ大阪の攻撃を１点に食い止めて、後半に望みをつなぐ。

後半に入ると草津は４―４―２のシステムに変更して攻撃の立て直しを図る。島田のドリブル突破を中心にゴールへと迫るが、前線の迫力不足は明白。スペースを埋めるＣ大阪の最終ラインを崩すことができずに決定機を作り出せない。また、攻撃が単発になることから逆に鋭いカウンターを浴び続けていく。56分には柿谷、61分にはアレーに決定機を許すが、ＧＫ本田が抜群の反応でブロック。かろうじてピンチを凌いでいくが草津の粘りもここまでだった。

79分、Ｃ大阪はＣＢ前田の意表を突いたオーバーラップから、小松が追加点。83分には、小松のクロスをジェルマーノがヘッドで押し込み、ゲームを決めた。草津は89分に島田のラストパスを受けた山崎が１点を返すが、後の祭りだった。「フィニッシュまで行けずにカウンターを受け続けた」と佐田が話すように、草津は中途半端な攻撃を繰り返しては、沈没した。もはや、島田の突破からしか、得点の予感はしない。ゆったりとしたパスをつなぐスローなサッカーからは、この先も得点は生まれないだろう。孤軍奮闘を見せたＧＫ本田は「何もできずに好き勝手にやられた。うちは個人で戦うチームではないのに、全体で戦う意識が少なかった。もっと一人一人が考えないといけない」と、スタジアムをあとにした。

３連勝となったＣ大阪だが、ダイナミックかつ魅力的なサッカーを展開した。香川や柿谷のセンス溢れるプレーは観ていて、純粋に面白かった。また、迫力ある攻撃陣を支えたボランチ羽田、両ＣＢら守備陣の活躍も見逃せない。「今日は下位チームとの対戦だったので満足してはいけない、次の湘南戦が大切だ」と香川。Ｃ大阪は勢いに乗って湘南との大一番を迎えることができる。

12節までの過去５戦を１勝４分で乗り切ってきた草津だが、今節Ｃ大阪戦に敗れたことで置かれた立場は一変した。現在２勝５分５敗の草津が昇格争いに食い込むためには第１クール残り２試合で連勝することしかない。負けたら、もう言い訳はできない。ここで結果が残せないならば、「目標・Ｊ１昇格」という「看板」を早々にして降ろさなければいけなくなるだろう。14節のアウェイ岐阜戦、15節ホーム水戸戦。これからの２戦は、草津にとって修羅場となる。

以上

2008.05.10 Reported by 伊藤寿学