5月10日（土） 2008 J1リーグ戦 第12節
大宮 1 - 2 札幌　（16:00／ＮＡＣＫ／7,358人）
得点者：18' オウンゴ−ル（札幌）、69' 森田浩史（大宮）、85' ダヴィ（札幌）
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ゴールデンウィークをはさんだ連戦の最後は、どこも雨の中での試合となった。今年から改装され、再び大宮のホームスタジアムとして使用されているNack5スタジアムだが、スタジアムそのものだけでなく大宮駅から向かう道中も実はなかなか魅力的である。大型商業施設から趣きのある商店街を歩き、氷川神社（全国でも「初詣客の多い10傑」常連に名を連ねる神社）の参道を抜けるという順路は歩く人を飽きさせない。この日、雨の中歩く参道は悪天候をそうとは感じさせないような雰囲気。道行くサポーターたちは好ゲームを続ける大宮への期待で満ちているように見えた。

だが、うまくはいかないものだ。「勝点3ではなく（残留争いを考えれば）6の価値のある」下位チーム相手になすすべなくミスから自滅し敗れた。「前半のような悪い状態をはじめて見た」と大宮・樋口靖洋監督があきれ返るような出来の悪さをホームで露呈してしまった。しかもホームではFC東京戦に続く2連敗。がっくりうなだれながらの帰り道の雨は冷たく、道のりは長かったのではないだろうか。

三浦監督率いる札幌には負けられないと前日まで大宮の選手たちはいきまいた。だが、試合に入ったらそればかりを意識しているわけにはいかなかった。「そんな余裕はなかった」（吉原宏太）そうだ。メンバー的にはここのところ固まりつつある11人がピッチに立つ。吉原宏太が先発に復帰し、期待をさせたが前半の大宮は指揮官のコメントのように出来が悪かった。いつものように高い位置でのポゼッションを試みても上手くいかない。なによりもこの日前半45分で交代した小林大悟が、彼にしては珍しく悪い状態を見せた。「悪すぎた」と指揮官が振り返るほどだ。パスで崩すことも出来なければ、ゴール前は相手の守備に固められており入っていくこともままならない。後半に出場した森田浩史は「スリッピーな中、繋ごう繋ごうと自分たちの首をしめていっているように見えた。相手のチェックも激しく1、2本のパスで苦しくなった」と見ている。とにかく攻め手がなく、チャンスもほぼなし。枠を捉えたゴールは前半
終盤間際に片岡洋介がはなったミドルシュートのみ。選手たちは「相手ではなく僕らが自滅」と認めていたが、その要因に「（三浦監督が相手におり）ヘンな雰囲気」が存在したということも上げられるのかもしれない。セットプレーからのオウンゴールから失点し前半を折り返した。

しかし札幌の好守も後半は続かず、大宮はいつもどおり攻勢に出ることに成功。小林大に変わって入った土岐田洸平がスピードを発揮し何度もチャンスを作る。だが残念なことにゴールマウスを捉えるには至らないのだ。森田が投入されるとその1分後の69分にはその彼が得点がゴール前で勝負強さを発揮し同点に。土岐田が前線に入れ、レアンドロ、冨田と左サイドでつないだボールを押し込んだ。以降、押せ押せムードになる大宮。多くのコーナーキックからチャンスを得るが、ぎりぎりのところでゴールからはじかれる。はじかれているうちに、後半ほぼチャンスのなかった札幌にも好機が訪れる回数が増えてくる。結局は札幌の交代選手西谷正也が期待通りに前線をかきまわし、コーナーキックから追加点を奪い大宮を突き放した。

札幌のクライトンはこうはなす。「後半は少し疲れが出てしまったが、そこで我慢して耐えることができたのは大きいと思う」札幌が前半からアグレッシブに来ることも、後半その勢いがおちることもわかっていた。そこをつけなかったのは、今の大宮の実力というところか。「この位置にいるということを再認識したい」と樋口監督は話した。

得意のセットプレーから2得点しアウェイで勝利を挙げた札幌。「大宮の選手に指示をだしそうになった…というのは冗談です」と記者会見で余裕を見せた三浦監督。順位こそ上がらないが、自分たちの形を見出せる試合展開で、今後へのきっかけとなったことだろう。

連戦も終了し一週間のインターバルが空く。この間にいかに自分たちを見つめ直し、いかに立て直すかが試されている。

以上