12月6日(土) 2008 J1リーグ戦 第34節
札幌 0 - 1 鹿島 (14:33/札幌ド/26,220人)
得点者:35' 野沢拓也(鹿島)
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タイムアップの笛が鳴った瞬間、喜びを爆発させる鹿島イレブン、ベンチ、サポーターと対象的に、札幌側は何とも表現の難しい雰囲気だった。2連覇を果たした王者・鹿島を相手に最少失点差での敗戦は決して悪すぎるものではない。だが、リーグ最下位が確定しており、この敗戦を含めると18試合も勝利から遠ざかっている。この試合は、不本意すぎた今シーズンの終わりとして、優勝をかけた鹿島を破ることで何とか意地を見せることのできる最後のチャンスだった。しかし、それも叶わず。最終戦も黒星で終えてしまった。
立ち上がりはまずまずの滑り出しだった。幅広く走り回るダヴィにうまくボールを当てたり、上里一将、西大伍という若い守備的MFを経由したパスに、スピードのある右ウイング、藤田征也が良い体勢で反応してサイドからチャンスを作った。11分には中盤からの展開で藤田が相手の左サイドバック、新井場徹との1対1での走り合いの場面を作り、これに勝ってクロスボールを上げた。こうして右サイドから幾度かチャンスを作ったことで、新井場はなかなか攻め上がることができず、藤田の突破力は攻撃だけでなく守備陣の負担をも軽減することに成功したのだ。
また、左MFで先発出場した西谷正也は本来はあまり守備の得意な選手ではなかったが、この試合では序盤から守備でも積極的に走り回った。ダヴィ、砂川誠という2トップのプレスと上手く連動し、相手のビルドアップを乱すことができていた。札幌は、鹿島を相手にも組織を武器にしっかりと応戦していた。チームとして有機的に動き、首位を相手にもチャンスをなかなか与えない。この試合を客観的に見れば、札幌はチームとしてまとまった「良いチーム」という評価ができるだろう。
ただし、「良いチーム」と「強いチーム」は別だ。相手の鹿島は、後者。「強いチーム」だった。
鹿島は上手くボールを回しながらも、肝心な部分を札幌の組織的な守備網に阻まれていたが、時間が経過するにつれて要所でロングボールを織り交ぜ、力技も用いるようになってきたのだ。35分に奪われた失点もロングボールが起点だった。それも、「(鹿島は)我々をキチンと分析してきた」と三浦俊也監督が振り返ったように、全体が徹底したゾーンディフェンスをする札幌の急所である、人と人との間にボールを送り込み、相手への見張りがルーズになる僅かなエリアにボールを落として決定機を作ってきたのだ。
1点のビハインドで折り返した後半は、ほぼ鹿島にペースを握られ続けたと言っていいだろう。相手のマルキーニョスが幾つかの決定機を外し、通常のサッカーの流れであればそれを契機に主導権は札幌へと移り変わりそうなものなのだが、鹿島はそうした「サッカーの不文律」には決して飲み込まれなかった。丁寧なパスワークでゲームをしっかりとコントロールし、札幌が攻撃的な選手交代で状況の打破を試みても、それに合わせて攻守のパワーバランスが調整され、ほぼチャンスを作らせてもらうことができなかった。この試合、札幌のFWが放ったシュートは0本だった。そして、シーズンの終了を告げるタイムアップの笛を聞いた。
「今季を象徴するような試合だった」とは坪内秀介。チャンスの匂いがしながらも、最終的にはフィニッシュまで持ち込むことができず、逆に相手にペースを与えてしまう。それが今季の札幌だったし、この試合の札幌だった。
だが、思い出したい。今季の開幕戦でもこの鹿島と対戦したのだが、その時はなす術なく0−4のスコアで大敗した。だが、長いシーズンを経てのこの試合、今季でチームを去る池内友彦が「若い選手が鹿島を相手に堂々とプレーしていた」と話したように、西、上里、藤田、岡本賢明、宮澤裕樹という若手選手たちが王者に対してもアグレッシブに挑んでいった。ほとんど良いところを見せることができず、最下位に沈んでしまった今シーズンだったが、そこから得たものも大きかったということなのだろう。
「明日からまた、来年に向けてやっていきたい」
西嶋弘之はこう言って、ミックスゾーンを後にした。そう、この日のタイムアップの笛は、札幌にとっては来季に向けたキックオフの笛。「08年の悔しさがあったから」。そう笑って話せる日を迎えるために、札幌イレブンはまた走り出す。
以上
2008.12.06 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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