12月6日(土) 2008 J2リーグ戦 第45節
仙台 1 - 0 草津 (12:06/ユアスタ/18,807人)
得点者:67' 関口訓充(仙台)
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試合後の監督会見を額面通りに受け止めるのだとすれば、おそらく選手たちは他会場で何が起こっているのか知る由もなかったようだが、後半に入り、J1に向かう未来へのかすかな光である3位の座が、仙台の手の平からこぼれ落ちていた瞬間があった。言うまでもなくそれは、C大阪が愛媛相手に、カイオのゴールで逆転を果たした時である。
さらにその直後、ユアスタでの時間にして66分、草津はペナルティーエリア内ゴール正面でボールを受けた後藤涼が、キックフェイントで仙台のDFをいとも簡単に剥がし、あとは丸腰状態のGK林卓人が立つのみという超決定機を迎える。
「未来が、完全に消える」。そう誰もが覚悟した場面。
しかし後藤のシュートはゴールをわずかに逸れていった。
…ここで少しばかり回想。仙台が前回に昇格を決めた2001年の最終節、アウェイでの対京都戦。勝たなくてはいけない仙台の裏を突き、京都が決定的なカウンター。当時まだ若手有望プレーヤーの一人だった松井大輔(現サンテティエンヌ・日本代表)が、ペナルティーアークでの鋭い切り返しから守備を外し、GK高橋範夫(現アルビレックス新潟・S)の守るゴールマウスへ迫る。ところが、フリーで放ったはずのシュートはバーを大きく逸れた。そしてこの時は直後、仙台にJ1への門をこじ開ける財前宣之のゴールがもたらされている。
時は経ち、2008年12月6日はどうだったか。
先ほどの後藤の決定機からわずか1分後。右サイドの梁勇基からペナルティーエリア右に飛び込んできた関口訓充に絶妙なパスが通る。関口は慌ててスライディング気味に飛び込んできた寺田武史をやり過ごした後、素早く反転、決して簡単な位置からではないシュートを、ゴールの右上に突き刺してみせた。
7年前の財前がそうしたように、関口もまた、看板を超えて一目散に仙台サポーターの元へ。
この瞬間、未来を再び仙台は取り返す。そして二度と、手放すことはなかった。
今季「ここで勝てば」という試合を取りこぼし、上位の背中が遠ざかるのを、または下位がひたひたと迫ってくるのを何度も許していた仙台。しかしもう後がない状況の中で、仙台はようやく、自らの力で自分たちの行く末を決めてみせた。
決して楽な試合ではなかった。草津はこの最終節で退任となる植木繁晴監督、そして監督と一緒に作ってきたサッカーに報いるべく、効果的なサイドチェンジを何度も織り込んだ素晴らしいポゼッションサッカーを展開。プレスに来た仙台の網をかいくぐった。
前節までの仙台であれば、こうして先手を取られたまま、早い時間に先制点を献上してしまうこともあっただろう。だが今節の仙台は、監督、そして選手たちがみな口を揃えて語ったように、とにかくじれなかった。そしてシーズン序盤の攻めを思い出したかのように、落ち着いてサイド深くで起点を作り、草津を崩しにかかる。次々と生まれ始める仙台の決定機。
しかし、全てを記すのがおっくうになるほどのチャンスを作りながら、ゴールだけは遠かった。そうこうするうち、後半開始から再び流れが草津へと傾き、さらにC大阪逆転の知らせまで(少なくともプレス席では)届く。リアルに感じられ始めた、最悪のシナリオ…
それを、関口の一蹴りが吹き飛ばした。
以降は仙台側にとって、まさに緊張と弛緩の連続という時間が過ぎていくが、スタメンとしてセンターバックに入った渡辺広大、今季限りで仙台を去ることが決まっている磯崎敬太など、この大一番にピッチへと戻ってきた選手たちが奮闘し、草津の攻撃を跳ね返していく。長い長い4分のロスタイムを経て、歓喜は仙台へと舞い降りることとなった。
入れ替え戦進出、そして相手が磐田だと決まった今、仙台には今のままではいけない部分もある。再三再四、後藤のフリーランニングや高田保則のポジショニングによって決定機を許した守備陣はより一層の集中が求められるし(例えばこれが前田遼一やジウシーニョだったらと考えれば)、おそらく入れ替え戦では今日とは比べものにならないほどチャンスが限られるだろうから、攻撃陣は一瞬の集中力をより研ぎ澄まさせる必要があるだろう。
といっても、第1戦まで中3日、続くアウェイでの第2戦は中2日。やれることは自ずと限られる。能力を超えた、勢いと表現すべき要素でも何でもフル動員して、仙台はまず第1戦を戦わなくてはいけない。
だが勢いに関しては大丈夫だ。今日以上のサポートが、水曜日のユアスタではもたらされるに違いない。何より(これは少々オカルトめいた話になるが)、サポーターやスタジアム、あるいは過去の歴史や名珍場面含め、それらが構成するクラブとしての雰囲気自体、仙台には「祭」の舞台が似合っている。来年からこの制度がなくなることを思えば、最後の入れ替え戦を仙台が戦うこと自体、何かしらの運命すら感じる。
今からの1週間。最高の冬の祭を楽しもう。自ら上がったステージだ。思う存分、黄金の舞台装置の元、暴れればいい。
以上
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