5月2日（土） 2009 J2リーグ戦 第12節
栃木 0 - 4 富山　（13:03／栃木グ／5,900人）
得点者：22' 舩津徹也（富山）、40' 木本敬介（富山）、42' 木本敬介（富山）、86' 松下和磨（富山）
スカパー！再放送 Ch183 5/4（月）07:00〜（解説：松原良香、実況：篠田和之、リポーター：新井謙一郎）
☆GWはファミリーJoinデイズへ行こう！
----------

Ｊ２新入生対決、第２ラウンドは思わぬ大差が付いた。カターレ富山が栃木ＳＣを４‐０と蹂躙。主導権を握られ続けた栃木は、富山にＪの舞台における初の連勝を献上してしまった。ファジアーノ岡山を含めた新規参入３クラブの中で富山は初ゴール、初勝利に加え、連勝の栄誉まで手に入れた。

目覚めの悪さは前節の反省点のひとつだったはず。開始６分、栃木は連携ミスから窮地を招く。ここはＧＫ小針清允が長谷川満の決定的なシュートをブロックしたことで難を逃れるも、一向に目覚める気配はなかった。ことに「プレッシャーを一人一人が掛けてしまい、チームで掛けることができなかった」（稲葉久人）ことが、リズムを作り出せなかった要因。最終ライン、中盤、前線と３つのライン間の距離が遠く、ボールの取りどころが定まらなかったことでコレクティブな守備が不可能となり、流れに乗り切れなかった。

対照的に富山は序盤から中２日の過密日程の影響を感じさせないほどの運動量で攻守に圧倒。長山一也と渡辺誠のダブルボランチが汗をかき続けてセカンドボールを拾ったことで、特長であるサイドアタックを引き出せた。じわじわとサイドから攻め立て得たＣＫから２２分、先制点を叩き出したのは舩津徹也。自らが上げた危険なクロスから獲得したチャンスをゴールに結び付けた。

失点を喫しても寝惚け眼の栃木は、出し手と受け手の関係が悪く、ミスパスのオンパレード。ミスは連鎖し、４０分、４２分と立て続けに失点を喫する。ＧＫ小針がバックパスの処理にもたつく間に木本敬介に詰め寄られて２点目を叩き込まれ、井上雄幾がゴール前でハイボールをトラップした際に滑ったところを再び木本に掻っ攫われて３点目を許した。

４５分で３失点の栃木は、後半頭から入江利和と若林学を投入し、４‐４‐２から４‐１‐４‐１へ布陣を変更して反撃に打って出た。ゴールへの意識の高さを見せた入江の積極性が活気を生み、ようやくゴールに迫れるようになる。しかし、１８分に佐藤悠介が、２４分に大久保裕樹がＣＫからゴールを狙うも、ＧＫ中川雄二に阻まれる。そして、切り込み役を担った入江が退場してしまうと勢いは萎み、４１分にカウンターから松下和磨にゴールを割られる。「後半の立ち上がり１５分を抑えることができたのは良かった」と木本が振り返るように、富山は苦しくなると読んでいた時間帯を無失点で耐え凌ぎ、今季４勝目を掴んだ。星を４勝４敗４分けの五分に戻し、８位に浮上した。

栃木と富山の明暗を分けたのは、会見で松田浩監督が述べた「ディテール」と「ディシプリン」だった。

栃木の２点目と３点目の失点はミスからだったが、諦めずにボールを追っ掛けた木本の執念がミスを引き起こさせたとも言える。細部の詰めを怠らなかった富山に対して、栃木はわずかな隙と気の緩みを見せ、それが命取りとなった。両者の力量差が皆無に等しくとも、４点と大きな差が生じてしまうのは当然である。

試合の入り方にも大きな違いがあった。試合間隔は同じ。富山は２日前に栃木に、メンバー外になる２人を含めて１８人で入り、状態のいい選手を選出するなど下準備を入念に行ったにしても、疲労は抜けきらなかったはずである。だが、立ち上がりから出し惜しみせず、気持ちを前面に押し出したことで思い通りの展開に持ち込めた。翻って栃木はサガン鳥栖戦の反省を活かせなかった。前半の悪しき流れを引きずり、そのまま終了の笛を聞くことになった。選手間で最初の入り方を間違えないように確認を取ったそうだが、思うに任せなかったのは松田監督が求める「ディシプリン」が欠けていたからだろう。組織で戦うことを生命線とするチームが組織力を失っては、勝機は見出せない。

「お手本になるチーム」と松田監督が語った通り、富山からは一丸となり、勝点３を狙う団結力が伝わってきた。一敗地にまみれたが、どういった方向性でチームを強化すればいいのか、同期に教えられたことを栃木は今後に繋げていかなければならない。そうでなければ敗戦と今季初めてサポーターが浴びせたブーイングの意味が薄れてしまう。

以上

2009.05.03 Reported by 大塚秀毅