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【J2:第12節 福岡 vs 札幌】レポート:残念な結果も光明は見えた福岡。苦しい状況を守り切った札幌。ともに大事なのは次の一戦(09.05.03)

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5月2日(土) 2009 J2リーグ戦 第12節
福岡 0 - 0 札幌 (19:03/レベスタ/8,552人)
スカパー!再放送 Ch186 5/3(日)16:00〜(解説:サカクラゲン、実況:後藤心平、プレーヤー解説:布部陽功、リポーター:森田みき)
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 開始直後の25秒、宮原裕司の決定的な右足ボレーシュートが札幌ゴールを襲う。対する札幌の最初の決定機は2分。大外から走りこんできた藤田征也の右足から放たれたシュートがクロスバーをたたく。緊張感とゴールに対する高い意識が感じられる立ち上がり。そんなプレーを経て主導権を握ったのは福岡だった。

「中2日の試合。気持ちを相手よりも上回るということしか出来ないと思っていたので、走ることや、気持ちの部分だけでは相手に負けないようにしようと言っていた」(丹羽大輝)。
 その言葉通り、この日の福岡は立ち上がりからアグレッシブにボールを追い、そしてピッチを走り回ってボールをつないだ。その中心にいたのは、今シーズン、出場機会に恵まれなかった中払大介、宮本亨、丹羽大輝らだった。
 中盤の高い位置、やや中央寄りでプレーする中払は、ボールを納めて落ち着かせることでチームのリズムを生み出し、宮本は基本通りにパス&ゴーを繰り返してスペースに向かって長い距離を走ることで相手を引き連れて新たなスペースを作る。そしてキリノとマッチアップする丹羽はロングボールを正確にはじき返した。この3人に触発されるかのように中盤が活性化した福岡は、人もボールもテンポよく動くサッカーを展開。札幌を一方的に押し込んでゲームを進めていく。

 そして、大久保哲哉、高橋泰の献身的な守備も、福岡がリズムを刻む大きな要因になった。「高い位置からプレッシャーをかけて相手を制限して、蹴らせて取ると話していた。前の選手が相手を制限してくれたので、僕たち後ろの選手はシンプルに弾くだけというのが仕事だった」と丹羽も振り返る。ゴールこそ奪えなかったが、クライトン、キリノに仕事をさせず、流れるようにボールをつないで相手を一方的に押し込むサッカーに、スタンドは何度も歓声に沸いた。

 しかし、札幌も黙ってはいない。福岡の勢いの前に、前線からのプレッシャーという自分たちの特徴が発揮できず、中盤のミスが目立った前半を、ハーフタイムでしっかりと修正してきた。そして、後半に入ると立ち上がりから主導権を奪い返すことに成功する。
 前から仕掛ける札幌は福岡から力を奪い取り、福岡陣内へと押し込める。そして、クライトンとキリノがボールを触る回数が増えるとともに札幌の優位性が増し、粘り強く守る福岡をジワジワと追い詰めていく。時間とともに札幌にゴールの気配が高まる。

 だが66分、ダニルソンが乱暴な行為を働いたと判定されて一発レッドカード。このプレーで試合は新たな局面へと変わっていく。キリノを1トップに置く4−4−1のシステムに変えた札幌は、守りを固めてカウンター攻撃からゴールを狙い、福岡は一方的にボールを支配しながら決勝ゴールを目指す。スペクタクルという面では見どころはなくなったものの、選手を代えながら、駆け引きをしながらゴールを窺う両チームの攻防に観客はピッチから目が離せない。しかし、ともにゴールは奪えず。試合はスコアレスドローに終わった。

 引き分けを良しとせずに、10人になりながらも勝利を目指した札幌だったが、勝点1を積み上げた結果は悪くない。しかも完封試合は今シーズン2度目。無失点で試合を終えたことは守備という点で見れば自信にもつながるだろう。前半は仕事をさせてもらえなかったとはいえ、クライトン、キリノを中心とした攻撃力の脅威も変わらなかった。引き分けに終わった原因が、退場の判定と立ち上がりの入り方の悪さと明確なだけに、次の試合に引きずることなく修正も可能だろう。次節(5/5@札幌ド)はホームで栃木を迎えての試合。ホームでの初完封勝利を目指す。
 そして福岡。過去3試合の戦いぶりから見て非常に難しい試合だったが、スペースへ動き出してボールを受けること、パス&ゴーを繰り返すこと、3人目がフリーランニングを実行すること、そして守備面ではチャレンジ&カバーを徹底させることで、チームの流れを取り戻した。勝たなければ前へ進めない状況を考えれば勝点2を落としたことは残念だが、トンネルの出口の方向が見えてきたという意味では価値のある試合だった。
 ただし、10人になった札幌に対して2本しかシュートを打てなかったように、ラストの部分は依然として課題。前半を一方的に進めながら、後半の立ち上がりがまずいのも相変わらずだ。戦いながら、この課題をどう克服していくか。それが今後の福岡の動向を決めるカギになりそうだ。

以上

2009.05.03 Reported by 中倉一志
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