8月19日(水) 2009 J1リーグ戦 第22節
山形 1 - 0 F東京 (19:04/NDスタ/11,056人)
得点者:85' 長谷川悠(山形)
スカパー!再放送 Ch183 8/20(木)14:00〜(解説:越智隼人、実況:小出匡志、リポーター:成田ひみこ)
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場内で勝利のあいさつを終え、ダウンのため引き上げてきたメンバーたちを迎えながら、負傷離脱中の渡辺匠が興奮した声で何度も叫んでいた。「アボリジニのお陰だ!」。
試合前にパフォーマンスを披露したオーストラリア先住民・アボリジニのウォーレンさんが、ハーフタイムには勝利のおまじないを唱えたあと、こう言った。「これでモンテディオの勝利は間違いない」。このおまじないの効果のほどはともかく、山形は、じつに山形らしい粘り強い戦いで勝点3を獲得。逆にF東京は4試合勝利がなく、2試合連続の無得点。混迷が深まる前に脱出の糸口をつかみたい。
F東京は、前節で欠場した4人のうち、梶山陽平、長友佑都、ブルーノ クアドロスがそろって先発復帰。もう1人の石川直宏は間に合わなかったが、右サイドハーフには鈴木達也が10試合ぶりの先発を果たした。立ち上がり、いきなり小林亮のクロスから長谷川悠のボレーを浴びたが、GK権田修一のセーブで防ぐと、返す刀で平山相太のマイナスクロスに鈴木がシュート。その後はボールポゼッションを一気に高めていった。
縦パスがことごとく読まれカットされる山形と対照的に、F東京は機を見てバイタルエリアに下りる平山が、アプローチが曖昧な山形を後目にほぼパーフェクトにポストプレーをこなし、決定機を増やしていく。8分にカボレとのワンツーでこの日最初のシュートを放つと、鈴木のクロスにヘッドで合わせ、さらに鈴木のクロスを折り返してカボレのシュートをお膳立てした。梶山と米本拓司のボランチコンビもアングルを変えながら的確な配球につなげ、隙を見てブルーノまでがスルスルと持ち上がるシーンが2度あった。38分には梶山の左からのクロスをカボレがヘッドで折り返し、詰めた平山のシュートがポストに弾かれるシーンもあった。
「前線と中盤を越えると(F東京の)最終ラインは少しアプローチが甘いので、北村も長谷川も自分が思ったことがやれたのではないか」(小林伸二監督)と言うとおり、ディフェンスラインからの長いくさびを長谷川がヒール、そこへ北村知隆が飛び込むシーンや、前半ロスタイムには、右スペースへ飛び込んだ北村からのクロスに長谷川が反転してのシュートもあったが、GK権田の正面を突き、45分間は無得点。ただし、相手にも得点を与えなければ、山形の勝利へのプランは続行される。「『時間がかかれば、かかるほど、相手のペースになる』と向こうの監督も話していたが、見事に心理的にもそれにはまったと思う」(鈴木)とF東京は山形の術中にはまっていく。
ハーフタイムをはさんだ後半、山形は守備を修正していた。平山には1人アプローチに行き、そのくさびパスの出どころとなるボランチへも、山形のボランチが厳しくアプローチできていた。北村からの折り返しに長谷川がヘディングシュートを当て、こぼれ球を拾った宮本卓也がミドルシュートを放つなど、守備が機能することで、必然的に攻撃のチャンスも増えていった。
64分、米本が平山の足元にくさびを入れると羽生直剛が飛び出し、受けたボールを今度はカボレと交換しながらペナルティエリア深く侵入していく。シュートはGK清水健太に阻まれたが、流れを取り戻したF東京はカボレがターン&シュートで山形ゴールを脅かし、さらに前半同様、ブルーノが持ち上がる。くさびを平山がスルーした先に飛び込んだのは、ポジションを高めに上げていた長友だった。しかし、ここでもF東京はゴールネットを揺らすことができなかった。再三持ち上がっていたブルーノも、今度は長谷川に詰められ危ないカウンターを受けるプレーも発生。ジリジリとしたゲーム内容はいよいよ山形有利を印象づけていた。
そして85分。山形がパスをつなぎながら右から左へサイドチェンジすると、左の起点となった赤星貴文を追い越してサイドバック石川竜也が、この試合初めて高い位置まで走り込む。ファーヘのクロスは途中出場の金沢浄にクリアされたが、それを拾った小林が再び折り返すと、手薄になったゴール前で長谷川が今野泰幸の背後に飛び込んでゴールゲット!ついに均衡を破った。その後、F東京のパワープレーを気迫でクリアし続けた先に待っていたのは、4試合ぶりの歓喜の瞬間だった。
F東京は1つ順位を落として8位。軒並み敗れた上位陣との差が広がっていないことが不幸中の幸いだ。梶山は「今日のゲームに関しては決めなければいけないところを一人ひとりが決めきれなかった。それが一番の敗因」と語る。憮然とした表情で城福浩監督はこう話す。「ゴールネットを揺らす選手がいない、そういうレベルの、まだ我々はチームであり、そういうレベルの選手であるということをしっかり受け止めてやらなければいけない」。危機感は溢れている。それをどういうルートでプレーに反映させ、ゴールに結びつけるのかという大きな課題は背負ったままだ。成果は、中3日で対戦する首位・鹿島(8/23@カシマ)との一戦で示したい。
前半戦で敗れた相手との5連戦を迎えている山形。その最初の試合で勝利したことで、まずは大きく一歩を踏み出した。勝点27はまだ残留には十分ではないが、9試合ぶりにゴールを割らせることなく仕事を終えたGK清水は、「長いこと失点してたので、やっと0になって、今までの頑張りが報われたというか、やってたことが間違ってないんだなと思いました」と話す。昨年7月以来の公式戦出場となった木村誠の復帰も明るい材料で、メンバー構成のオプションも着実に増やしている。この手ごたえをさらに実感するには、次節・川崎F戦(8/23@等々力)で、山形らしさを失わないプレーを続けることだ。
以上
2009.08.20 Reported by 佐藤円















