4試合連続無失点中だった難攻不落なトリコロールの壁が、ついに破られた。
横浜F・マリノスが1点をリードしていた83分、その時は訪れる。名古屋グランパスの藤本淳吾が中央からゴール前へロングボールを送る。そこに走り込んだケネディは相手を背負いながらも、きっちり胸で落とす。最後は「ケネディが落とせる位置の角度へ入ろうと意識していた」永井謙佑がダイレクトボレー。よく抑えてミートしたシュートは、バウンドしながらゴール左スミへ吸い込まれた。
この1点、永井のシュートテクニックを褒めるべきだが、横浜FMにとっては、悔やまれる失点だった。失点理由がわかっていたからだ。
「ラインを上げて対処したかった。でも、なかなかボールにプレッシャーが掛かっていなかったので、下がらざるを得ない状態になった。シンプルにケネディ選手に当てて、落としたところをシュートという、名古屋の1つの形にやられたかなあと思いますね」
淡々と振り返る兵藤慎剛。確かにロビングボールを送った藤本は、フリーの状態だった。それでは狙いどおりのボールを蹴られてしまう。また、ケネディのマークに付いていたのは、DFではなくボランチ冨澤清太郎だった。それは、中盤のラインがディフェンスに吸収されていたことを意味する。「俺が(ゴールを決めた永井に)チャレンジに行けたのかもしれない」。ミックスゾーンで富澤は、顔をしかめて悔しがった。
「わかっていてもなかなか防げない」(樋口靖洋監督)状況をつくられてしまったのは、名古屋の個の能力を最大限生かした「高さ」と「速さ」のある攻撃が、じわじわと効いてきたためだろう。横浜FMのディフェンスは、前半から永井、金崎夢生のドリブル、ケネディのポストプレーに対し、よく踏ん張り、体を張って対処していた。しかしながら、余裕はないように見えた。
そして、65分に名古屋がダニルソン、増川隆洋の巨漢2人を同時投入し、3バックに変更してからは、相手のパワープレーに辛抱しきれず、押し込まれた印象を受けた。ある意味、失点は必然的だったかもしれない。
ただし、「もったいない試合」(兵藤)であったのも事実。守備にベクトルを傾けておきながら、先制したのは横浜FMだったのだから。しかも、鮮やかなショートカウンターがズバリと決まった。53分、ピッチ中央で富澤が厳しいチャージで相手の藤本からボール奪取。その瞬間、前線へ走り出したマルキーニョスへ、ルーズボールを拾った小野裕二がすかさずスルーパス。この速い展開に名古屋DFは対応できず、最後はマルキーニョスが冷静にネットへ突き刺した。
だが、多くの選手が口にしていが、2点目が遠かった。80分に齋藤学がニアで、小野のクロスに合わせたビッグチャンスもあったが、決め切れなかった。その齋藤は、中村俊輔不在の影響を記者から問われると、「それはなかった。やりにくさはなかったし、決めるだけです!」と力強く答えた。決定力アップこそ、特効薬になりそうだ。
以上
2012.07.01 Reported by 小林智明(インサイド)















