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おそらくは、横浜FCと千葉の間には4-0というスコアほどの実力差はないだろう。しかし、いざ高いレベルの勝負となった時に、いかに流れを引き寄せるかという点においては完敗となった。このJ1昇格プレーオフ準決勝だけでなく、リーグ戦の2試合を含めた3試合で千葉には3戦全敗となったが、全ての敗戦に共通するのは「ちょっとした実力差」を確実にスコアと勝敗に結びつける「流れを引き寄せる力の差」だった。
勝点差1で迎えた両チームの一発勝負だけに、試合は拮抗したものになると思われていた。事実、お互いに相手の様子を見ながらの立ち上がりになった。両チームに共通していたのは、DFラインの裏への意識。横浜FCは、得点源の1つのカイオをメンバーから外し、裏への飛び出しに長けた野崎陽介をFWに上げて試合に臨む。そして、立ち上がりペースを掴んだのは横浜FCだった。野崎、高地系治、寺田紳一がシュート意識を高く持ち、積極的にシュートを狙っていく。しかし、25分を過ぎたあたりから、千葉が落ち着きを取り戻すと、徐々にパスを繋ぎ始める。そして、35分の失点。それまでコンパクトに守備ができていたが、この時間は少し間延びしてしまい、ロングボールを蹴らせてしまったのが原因だった。そして裏を取られて失点。前半のシュートは千葉が3本に対して横浜FCは6本。堅い立ち上がりからシュートに対する意識を持っていたのは横浜FCだったが、スコアは0-1のままハーフタイムを迎える。
後半に入ると、1点のリードを背景にゲームをコントロールする千葉を攻略することができなかった。守備の意識を高めた佐藤勇人、佐藤健太郎のダブルボランチに対して脅威を与えることができず、再び千葉にうまくあしらわれてしまう。53分の2点目も、ゴールを奪うべく前掛かりになったところをカウンターを受けたもの。対横浜FCの狙い所であるサイドバックの裏を見事に使われてしまった。2点差がついてしまうと、さらに千葉の中盤のコントロールは強固になってしまった。千葉のパス回しに対して後手を踏んでしまい、一方で藤田祥史に気持ちよくプレーをさせてしまう状況を田原豊、永井雄一郎、カイオの選手交代で食い止めることはできなかった。3点目の失点、4点目の失点は、ゲームの流れを完全に明け渡したことの結末だった。
ゲームを通じてみると、やはり少しの隙を大きくこじ開けられてしまった印象が強い。レギュレーションを考えても先制した方が心理的に有利になるだけに、ロングボールに対してオフサイドを取れずに喫した失点が、大一番では単なる事故の失点では済まないことを改めて学んだ試合となった。1点さえ取れれば、あとはゲームをコントロールする自信を持っている千葉に対して、ちょっとの隙を見せてはいけなかった。その意味で、前回の対戦(第24節 7/15)と同じような敗戦を繰り返してしまったと言える。
この敗戦で、横浜FCが目指していた最下位からのJ1昇格という夢は潰えた。横浜FCがこのステージに立てたこと自体、このJ1昇格プレーオフの意味は大いにあったと言える。横浜FCとしては、このステージに立ったこと、そしてこの敗戦を次に繋げないといけない。横浜FCに実力がないわけでも、流れを引き寄せる力がないわけでもない。それは、今年リーグ戦で積み上げた千葉を上回る73の勝点と4位という成績が証明している。しかし、直接対決において千葉に一歩後手を踏み続けたのも事実。今のままJ1に上がっても、似たような敗戦をしていたかもしれない。だからこそ、来年はこの試合の千葉に圧勝できるようなチームとなって、J2優勝の形で昇格しないといけない。いみじくも、千葉の木山隆之監督は、継続性でチームに芯ができたことを成長の証と述べた。横浜FCが今年築き上げてきた芯をさらに太くし、流れを引き寄せる力を増すことが大事だ。結果で言えば、負けた試合のどれか1つで勝っていれば自動昇格できたシーズンだった。この試合を、来シーズン堂々と昇格できるチームへの成長の出発点としたい。
以上
2012.11.19 Reported by 松尾真一郎















