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力及ばず。J1昇格プレーオフで敗れ、京都の今季J1復帰は叶わなかった。
京都は最終節からメンバーを変え、黄大城を左サイドバックに配置し、福村貴幸をボランチに据えた。大分は3バックの右に土岐田洸平が戻った。
試合は、序盤に京都が大分DFからボールを奪うシーンを作るなど、前から積極的に奪いに行くサッカーを展開。だが、大分も前線にシンプルに送ると、そこから圧力をかけて京都陣内に食い込んでいく姿勢を示し、流れはどちらとも言えない様相に。
スコアは早いうちから動く。17分、京都の攻め込みから、大分が自陣から森島康仁へ送り、森島がこれをDFを背負いながらこれを収めると、縦の木島悠へとつなぎ、左サイドでFKを得る。キッカーの森島が右足で放ったインスイングのボールは京都ゴールに吸い込まれ大分が先制する。
京都としては、まだ焦る点差ではなく、そこから淡々とゲームは進んだが、33分、京都は右サイドに展開されると、チェ ジョンハンにクロスを上げられる。その中央には森島。マークはついていたが、森島に脚で合わせられてしまい、それがバウンドしながら京都ゴールに入る。これで大分に2−0とリードを広げられる。
後半、京都は中山を下げ、サヌを投入。51分には、駒井善成のドリブルからサヌが裏を取りシュートまで持ち込むが得点には至らず。58分に黄を下げ原一樹を投入する。だが、次のスコアも大分が動かす。
61分、京都がパスミスから奪われ、その処理をもたつく間に大分にエリア内まで運ばれ、タックルを試みるがこれがファールとなり、得点機会阻止で一発退場、さらにPKを与えてしまう。これを森島が決めて3−0。一人少なくなった京都は攻撃を試みるも、逆にカウンターを喰らい90分に4失点目を喫して、タイムアップ。今季初となる4失点を受け、京都、J1昇格の望みがここで潰えた。
今季大分と3試合し、その3試合目、それが4失点で、この試合はシュート数でも相手が上回った。完敗だろう。幾つかポイントはあるだろうが、「2失点してという中で、正直、呑まれていく感じはあったと言いますか…」と試合後の会見での大木武監督の印象は、本当にその通りだと思った。さらに、その前にも口にしていた「2点位ならなんとかなるんじゃないか」(大木監督)という意見にも大いに首肯したい。
先に点を奪われて、その点差+1点を取らないと勝てない状況(今回の場合は同点でも良いが)、その時にどう考えるか。「まず1点」となる。その1点がチームに何をもたらすか。勢いと同点への強い希望を与える。逆に相手は、同点、そして逆転への恐れが芽生える。
だから、2点差は危ない、安全圏は3点差、と言われるのである。逆に言うと「勝利への奮起」「勝利への揺るぎない確信」が欠けると戦いぶりが弱々しく観える様になる。その辺りで強さは欠けていたと思う。正直、攻め込むアイデアが不足する状況が続くと呑みこまれていく印象はこの試合に限ったことではなく、結構あるのではないか。ただ、大木監督以前の京都は、自分たちから攻撃する手段が、強力FWで点を取るという事以外は、あまりなかったので、目立たなかったということだろう。言い換えれば、逆転する力は乏しいが大崩れもしないチームだった、とも言える。それの、どちらがいいのかは一概には言えない。
会見後、大分・田坂和昭監督にこの試合のプランを尋ねることができたが、田坂監督は、連続して守備に入ることを挙げていた。京都のパスワークは素晴らしいが、そのために時間がかかる。だから、守備に行って、かわされてももう一度戻って守備に入る時間があると。だから連続して守備をやろうと言っていたという。会見では、チャレンジ&カバーにも言及していたが、そこと、また戻って守備をする粘り、これが重なって京都の攻撃を止めたと理解してもいいだろう。
試合後、染谷悠太が「ワンライン破っても、その次で掴まってしまったり、カウンターを喰らったり」と話していたが、その感じ方は、正しい状況判断が出来ていたのではないか。で、それを打開するためには?と言われると、大木監督が会見で話していた「(1点)取られたことは悔しいが、慌てることはない、じっくりいけばいい」ということだと思う。
こうなると、「考え方」や「心」の部分が小さくない様にも観えるが、それは戦術、技術が伴っての話である。
田坂監督の話を裏返すと、京都はパスをつなぐがフィニッシュまでの準備を要する、となる。では大分はどうかと振り返ると、ゴールに向かって行くプレーが多かった様に感じる。一言で言えばカウンターであるが、ボールの状況を認識しつつゴールに向かって直線的に、という印象だ。前半、左サイドでチェ ジョンハンがタメを作ると安川有が猛然と駆け上がってシュートまで持ち込んだ。大分らしいプレーなのだろう。この辺りの考え方は松本や湘南と似ている気がする。
粘り強い守備とゴールへ向かう連動性、京都とは違うベクトルではあるが、これもスタイルである。互いにスタイルがあって、どちらかがスタイルを出せて、どちらかが出せなかった。今回の試合は、そういう試合だった様にも感じる。スタイルを出せなかった京都がそれを試合中に取り戻すにはどうするか。来季、それが求められているのではないか。
最後に、最近、昨年の天皇杯の映像を見直す機会があったが、正直、結構未熟だなと思った。試合の運び方や個々の対人、チームのやりたい方向性と個々のプレーの仕方が結構ばらつきがある様な気がした。でも、去年は「これが京都のスタイルで京都は強いんだ」と本気で信じていた様に思う。目標を果たせなかった点では去年と今年は同じだが、今年の方が上手くなっている印象はある。多分、来年も同じ様に思うのだろう。今季が終わった直後の今は、ここから何を磨いてどう強くなっているのかまだ観えていなくても、続けていくと観えてくることもある。そして、気がつくと成長している、ということなのだと、今は思う。
以上
2012.11.19 Reported by 武田賢宗















