絶対的な存在感があるべきところに無いと、必要以上に不安になるのは万人の一致した道理であろう。それに頼り過ぎるのも良くはないが、やっぱり頼りにしてしまうのも道理。野球でいう『エースで4番』と言ったところだろうか。

鳥栖には、得点順で1位のFW豊田陽平がいる。第4節の磐田戦でのハットトリックは圧巻だった。左からのクロスにファーサイドから走り込んでのヘディングゴール。そして、CKから相手DFの間に割って入ってのヘディングゴールを2発。あのゴールを見て、感動と驚愕を感じない人はいないだろう。味方を唸らし、相手を唖然とさせたゴールで磐田戦では試合を優位に進めることができた。しかし、試合は3-3の引き分けだった。その後の2試合では、相手に抑えられて連敗を喫している。

柏には、レアンドロ ドミンゲスという絶対的なMFがいる。彼にボールが入ると、柏の攻撃スイッチが一気に入る。しかし、前節の甲府戦ではケガの影響で試合メンバーにその名はなかった。代わりと目されたFW工藤壮人が右サイドMFの位置に入ったが、期待されたほどの動きを見せることができなかった。試合は、甲府に敗れてしまい、あらためてレアンドロ ドミンゲスの存在感を知ることになった。

お互いに、ここまで波に乗れない戦いが続いている。11位の柏に13位の鳥栖。今節をキッチリと勝利して上位に食い込みたい思惑は一致するところだろう。そのためにも、決めるべき人が決めてシッカリと勝点3を上積みしておきたい。鳥栖はFW豊田(6得点)、柏はFW工藤(5得点)に期待が集まる。

と、ここまで話した内容では、見どころの半分しか説明できていない。残りの半分は、お互いが抱える課題についてである。波に乗れない戦いが続く要因の一端でもあり、ここさえ克服すれば上位争いをする力をお互いに持っている。残りのページは、そこに割いて記させて頂く。

鳥栖も柏も、今季は開幕からの失点が続いている。しかも、先制される試合が多いだけに、自分たちで戦いを苦しくしている所がある。鳥栖は、『前線からのプレスと落ちない運動量、高いDFライン』で戦ってきた。今季もその戦い方は変わってはいない。しかし、昨年の好調時に比べるとやや物足りなく感じるのは否めない。ここを尹晶煥監督は「選手が自信を無くしているように見える」と表現している。やり方は変わってないのに自信がなくてできないならば開き直るしかない。選手たちの気持ちの持ちようで変わることかもしれない。そこを意識してか、選手たちだけでミーティングを行い、決起集会を開いたと聞く。これが、立ち直りのきっかけとなれば嬉しい限りである。

柏も開始10分以内に失点する試合が多い。まずは、ここから気を付けたいところである。これも、戦術云々よりも、まずはピッチに立った選手たちの気持ちのところが肝心といえる。受けて立つのではなく、前線からのプレスで相手の自由を奪いたい。

どうしても、攻撃のところに目が行ってしまう両チームではあるが、この対戦での抑え所は守備の入り方になるだろう。互いに前線からのプレスがどの程度相手に通じるのか…。連動した守備ができるのか…。そして、どれだけDFラインを高くして相手のパスコースを消せるのか…。前線だけでなく、ピッチ全体を見ておかないと語りつくせない試合となりそうだ。

プレーの目的はシュートであり、得点を決めることである。
GKがボールをキャッチするのも、攻撃に移るスイッチなのである。
ボールを失わなければ失点をすることはなく、シュートチャンス、得点のチャンスが生まれるのである。
ボールを保持している方が攻撃で、相手は守備となる。
ボールを挟んだ争点に、スタジアムで酔いしれよう。
サッカーは、2局面しかないスポーツなのだから。

以上

2013.04.19 Reported by サカクラゲン