スタートダッシュでつまずきながらも2連勝して調子を取り戻しつつある清水と、好調なスタートを切りながらここに来て2連敗中のC大阪。対照的な状況にある両チームだが、どちらも勝敗の差は紙一重の戦いをしているのは同じ。今回も先制点が入るまではどちらに転ぶかまったく予想できない展開が予想され、非常に緊迫した見応えのある試合になることは間違いなさそうだ。
そう言える理由のひとつは、両チームとも守備がかなり安定していること。清水は現在公式戦で3試合連続無失点で、大量失点が続いた頃と比べて守備組織が非常に安定してきた。C大阪もリーグ戦6試合で5失点と安定感があり、公式戦で勝った5試合はすべて1点差という勝負強さを見せている。リーグ戦での得点は、清水が5点、C大阪が6点と両者ともまだ本調子ではないが、だからこそ自分たちが先制点を取れるまで辛抱強く無失点に抑えることが重要になるし、その図式は両者に共通する。
また、新たなブラジル人大型ストライカーを獲得し、彼らがまだ結果を出せていない点も同じ。清水のバレーはここまで公式戦1ゴール、C大阪のエジノはノーゴール。逆に2人のどちらかがチャンスを生かす仕事ができれば、勝利をグッと引き寄せられるはずだ。
その他にも、C大阪には昨年清水から期限付き移籍したMF枝村匠馬がいて、元清水のGK武田洋平(現在は負傷中)もいる。一方、昨年までC大阪に在籍していたMF村田和哉が、4月10日に清水に加入。今節では初めてメンバー入りする可能性が高まっている。枝村も村田も先発にはならないかもしれないが、古巣対決に向けて大いに燃えているはずだ。
こうして両チームを比べてみると、プレースタイルはかなり異なるが、今のチーム状況としては意外に共通点のあるチーム同士と言える。そして、この試合に勝てるかどうかが両チームにとって非常に大きいことも共通している。
とくにホームの清水は、前節の静岡ダービーに忍耐強い戦いで勝利し、半年ぶりの“勝ちロコ”を行なってアイスタで勝つ喜びを心から再確認できた。ここでホーム連勝ができれば、チームの士気や一体感はさらに増すはずなので、何としても勝ちたい試合だ。
完封が続いている守備に関しては、「ずっと続けてきたことが今は形になって出てきている状況だと思う。これを続けるしかないし、逆に細かい部分で課題も出ているので、そこを微調整していくことも必要」(杉山浩太)という現状。センターバックの平岡康裕とカルフィン ヨン ア ピンをはじめ、守備陣の個々のパフォーマンスも高まってきたので、まだ良くなる余地は十分にある。
それだけに最大の敵は、慢心や油断ということになるだろう。結果が出たことでホッとして心にスキが生じてしまうと、わずかな集中の緩みから失点につながることがあり、C大阪にはそこを突くのがうまい選手も揃っている。したがって、前節のダービーと同じ気迫や集中力を保てるかという部分が、清水サポーターにとっては大きな注目点になる。
また、C大阪には昨年のロンドン五輪代表が3人(扇原貴宏、山口螢、杉本健勇)いて、同じく五輪代表の村松大輔は、「意識はしますし、タカ(扇原)とはすごく仲がいいので、負けたくないですね。球際も大事だし、タカからのパスは向こうの武器だと思うので、自由を与えないようにみんなでプレスをかけ続けたい」と語る。そうした次代の日本代表候補たちの対決も見どころの一つと言える。
清水の攻撃に関しては、一つ二つ勝っただけでいきなり劇的に良くなるということは考えにくい。ここは一歩一歩改善していくべきところだが、「みんながバレーをターゲットとしてしっかり見て、バレーにボールが入ったらみんなでスイッチを入れるという部分は統一されてきていると思います」(吉田豊)というのは明るい要素。バレーがシュートを打てる場面も、彼に他の選手が絡んでいく場面も少しずつ増えてきているので、バレーを生かす攻撃という点も注目したいポイントの一つだ。
前節の最後に退場になった高木俊幸が出場停止だが、伊藤翔、八反田康平、石毛秀樹など出番に飢えている選手は多く、前節では竹内涼も激しいレギュラー争いに名乗りを上げた。そこに前述の村田も絡んで、若いチームならではの楽しみは多い。
C大阪に対しては、公式戦7試合勝利なし(2分5敗)だが、今はそうしたデータは関係ない。清水としては、守備をさらに進化させて粘り強くハードワークし、どんな形でも良いから先制点を奪って自分たちのペースに持ち込む――つまり静岡ダービーと同様の流れを再現し、今度は2点目のチャンスもしっかりと生かすというのが望むべき勝ち方。その準備は整っているので、あとは現実のパフォーマンスとしてホームのピッチ上で表現するだけだ。
以上
2013.04.19 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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