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【特集】Jリーグアジア戦略10年~野々村チェアマン編(前)~

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2022年7月11日(月) 17:30

【特集】Jリーグアジア戦略10年~野々村チェアマン編(前)~

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【特集】Jリーグアジア戦略10年~野々村チェアマン編(前)~
札幌時代にはクラブ経営者としてアジア戦略に取り組んだ経験もある野々村チェアマンは、これまでのアジア戦略をどのように評価し、どんな未来図を描いているのだろうか。チェアマンへのインタビューを通して、Jリーグアジア戦略の展望を紹介する

鍵は『日本=Jリーグ』のイメージづくり、野々村チェアマンが語るJリーグアジア戦略の未来像

Jリーグがアジアサッカーの競技レベル向上と市場拡大の牽引役となり、世界におけるアジアサッカーの価値向上と日本サッカー界の発展、さらにはステークホルダーの新規事業機会の創出などを目指す「Jリーグアジア戦略」。この取り組みがスタートしてから10年という節目を迎えた2022年、野々村 芳和がチェアマンとなったJリーグはアジア戦略をさらに加速させていこうとしている。

北海道コンサドーレ札幌時代にはクラブ経営者としてアジア戦略に取り組んだ経験もある野々村チェアマンは、これまでのアジア戦略をどのように評価し、どんな未来図を描いているのだろうか。チェアマンへのインタビューを通して、Jリーグアジア戦略の展望を紹介する。

選手の能力とリーグレベルのギャップをどう埋めるか

Jリーグアジア戦略の発端は、人口減少や少子高齢化など多数の社会課題を抱える日本国内に閉じているだけではこれまで以上の飛躍的な成長が見込めないことにあった。そこで目を向けたのが、日本とは対象的に平均年齢が若く、人口増加と経済成長のただ中にあり、かつサッカー人気も高い東南アジアだ。この地域にアプローチしていくため、Jリーグは2012年にアジア戦略室(現海外事業部を設立し、本格的にアジア戦略をスタートさせる。競技面では、ASEAN各国のリーグとのパートナーシップ提携の締結や、提携国枠*の導入と有望選手の加入促進、指導者や育成年代の交流などを実施。ビジネス面においては、提携国枠出身選手を獲得したクラブが現地企業のスポンサードを受けたり、国内企業のアジア進出のサポートを行うなどの成果を挙げている。こうした動きに伴って露出拡大も進み、2022年にはアジアだけでなくヨーロッパや南米も含めた約60ケ国以上の国・地域でJリーグの試合が放送されるようになった。海外放映権収益は2012年と比較して10倍以上に成長している。
*Jリーグでは、試合にエントリーできる外国籍選手の人数は1試合で最大5名(J2・J3は4名)までと決まっているが、提携国の国籍を有する選手は外国籍選手ではないものとみなし何人でも出場できる。提携国枠は2014シーズンから導入され、2022シーズン時点ではタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシアが該当する。

*2022Jリーグプロフィール2022より
リンク先(https://jlib.j-league.or.jp/-site_media/media/content/74/1/html5.html#page=1

これまでの歩みを振り返ってみると、10年間でアジアにおけるJリーグの価値は着実に向上していると言える。野々村チェアマンは「特に海外放映権に関しては、ほとんどゼロから始まった中でここまで拡大していますし、国・地域によってはリーグ・アン(フランス)やセリエA(イタリア)よりも評価されるようにもなっています。ここからさらに伸ばしていけると思っています」と評する。その一方で、「アジア進出は決して簡単なものではない」とも口にする。その理由のひとつが、「ASEAN国籍選手の能力とJリーグのレベルの差」がある点だ。

そもそも現在のアジア戦略は、リーグやクラブが東南アジア諸国に打って出てノウハウなどを提供するアウトバウンド的なアプローチと、ASEAN国籍の選手を獲得して各国の企業やファンの耳目を集めるインバウンド的なアプローチに分かれる。このうち短期的に成果が現れやすいのが後者である。例えば野々村チェアマンが在籍していた北海道コンサドーレ札幌が2017年にタイ代表のチャナティップ選手(現・川崎フロンターレ)を獲得した際には、クラブの練習場には多くのタイ人観光客が詰めかけて地域に経済効果をもたらした。また、「ガリガリ君」などの商品で知られる赤城乳業とアジアプロモーションパートナー契約を締結し、チャナティップ選手を広告塔に起用してタイにおける販促活動を展開したことは、「Jリーグのパートナーの新しい事業機会創出」というアジア戦略の目的のひとつを達成した好事例だ。ただし、このアプローチは選手個人の能力や知名度への依存度が高い上、その選手が所属クラブで一定以上の活躍を果たしていないと長期的な展開が望みにくい。2014年の提携国枠の導入以降、2022年(6月現在)までに32人のASEAN国籍のJリーグ選手が誕生しているが、そのうちクラブで中心選手と呼べるような存在だったのはチャナティップ選手に加え、サンフレッチェ広島清水エスパルスに在籍したティーラシン選手、ヴィッセル神戸横浜F・マリノスに在籍したティーラトン選手など、ごく一部に限られている。このギャップを埋めるには、ASEAN国籍選手の成長をサポートできる仕組み作りが必要となる。

「Jリーグでプレーしてもらうからには、クラブにはその選手たちを成長させる責任があります。『日本でなら若い選手たちを育てていけるんだ』と証明することはアジア戦略においてものすごく大事ですから。そのためにはクラブにだけ任せるのではなく、リーグが支援していかなければなりません。通訳や選手が住む場所の用意といった受け入れ体制の構築のサポートや、選手の獲得に当たって金銭面で二の足を踏んでいるのであれば何らかの形で支援をするといった具合です。しっかりとルールを決めた上で取り組んでいく必要はありますが、選手を獲得して伸ばしていける自信のあるクラブの背中を押してあげる仕組みがあったほうが良いでしょう」(野々村、以下同)

野々村チェアマンはコンサドーレの代表時代、ASEANの選手を獲得しやすくするためにリーグ側に提携国枠の設置を訴えた経験を持つ。その際にリーグ側がスピーディーに検討・対応し、提携国枠制度を導入したことが、後のチャナティップ選手の獲得などにつながっている。

「目の前の試合の勝ち負けを競っているクラブからすると、『せっかく外国籍選手を獲るならブラジルやヨーロッパの選手が良い』となりがちですが、提携国枠が導入されたことでASEANの選手を獲るチャレンジがしやすくなりました。当時のJリーグの対応のように、ルールを変えて良い効果が出るのであれば、臨機応変に、スピード感を持って取り組むことが重要だと考えています」

(聞き手:上野直彦/文:久我智也)

 

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